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対談「光と影と表と裏」

多くの企業の方々と関わりを持つことができる点が、私共のような仕事をする者の一つの喜びです。そのような中でも、特に人間的魅力に溢れた方々のうち何名かにご協力をいただき、数度にわたりお話を聞かせていただく予定です。・・・(続き)
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Vol.4-4
西村隆氏
(朝日ビール(中国)投資有限公司 総務部長)
×相原孝夫


キー語録(Vol.4-4)
自分の中で判断基準とか、または「ああしたい」「こうしたい」といった「思い」のようなものが出来つつあります。それを実現しやすい場所が自分にとっては人事部門の仕事。
現場の生の実態とか空気とかを直接に感じることが出来まして、自分にとって非常に楽しく有意義な思いがします。 人事部門の後継者作りを行っていきたいと思っています。
「この会社が好き」とか「当社の商品が好き」という社員が本当に多くいます。そういったことで強い一体感があるように思いますし、そういった一体感を大事にしようという風土があるように思います。
この会社で働くことへの誇りをもっと持ってもらえないかと、強く思いました。そしてそれは人事部門の責任範囲の中でやり遂げなければならないものとも思いました。
社員を信じること、明るく仕事をすること、人のせいにしないこと

(相原)
今回はとうとう最終回です。まだまだいろんなことをお聞きできそうですので、まだしばらく続けたい気持ちもありますが、いつまでもご迷惑をお掛けするわけには参りませんので、いったん最終回とさせていただきます。また再開のお願いをすることがあるかもしれません(笑)。また、西村さんの方でなにかトピックなどがありましたら、いつでも飛び入りで、ぜひ弊社HP上で情報発信をお願いします。 今回は、人事の仕事についてや、御社についてなどをお聞きしたいと思います。

(西村)
こちらこそ、これまで私のお話にお付き合いいただきありがとうございます。どこまでご参考になったか甚だ不安ではありますが、相原さんのリードのお陰で、何とか途中で挫折せずにやってこれました。


(相原)
工場や営業でも勤労業務を主としてなされていたことを考えると、人事の仕事がたいへんに長いわけですが、人事の仕事に関して、喜びを感じられる点ですとか、醍醐味ですとかは、どんな点にあると思われますか?

(西村)
なかなか難しいですね・・・。正直に申し上げて、会社に入って最初の仕事がたまたま勤労関係の仕事で、その後もそのままここまで来てしまって、今更他の仕事が出来なくなってしまった・・・という感じの方が強いような気がします(笑)。

醍醐味ですか、そうですね・・・上記のとおりもともと何か高邁な目的意識があって人事部門の仕事を始めたわけではないので、改めて問われると難しいです・・・。

正直に言えば、この部門にいて失敗も含めていろいろと経験を積み上げてきましたので、自分の中で判断基準とか、または「ああしたい」「こうしたい」といった「思い」のようなものが出来つつあります。 それを実現しやすい場所が自分にとっては人事部門の仕事、ということになるのだと思います。仕事をしていて楽しい時ということであれば、やはり自分の実行した施策や判断等により社員から感謝される、というのが一番うれしいですね。かなり当たり前な回答で恐縮ですが。





(相原)
今後、どのような仕事をしていきたいと思われますか?

(西村)
この上海事務所は、アサヒグループの中国投資会社の中では本社になりますが、やはり東京の本社とは規模がかなり違います。今回久しぶりに東京の本社を離れて人事の仕事をしておりますが、現場の生の実態とか空気とかを直接に感じることが出来まして、自分にとって非常に楽しく有意義な思いがします。

課題解決策を立案すれば、その実行から結果までを直にリアルタイムに体感できますし、問題が発生すれば直接その現場で解決し、その現場で社員と喜怒哀楽を共にすることができます。辛いことももちろんありますが、何か活き活きとした思いを持てる機会が多いです。今までそうではなかったというわけではないですが、現在の環境は非常にそのような感覚をもちやすいように思います。そう考えますと、今後もそのような感覚を持ってこの仕事をしていければ一番いいなあと思っています。

ただ、短期的にはまずはこの中国投資会社において、安定して成長していける体制作りをすると同時に、人事部門の後継者作りを行っていきたいと思っています。当社の中国事業は中国市場で販売数量を増やしていくということが根本にありますので、やはり中国人が自分達のためにこのアサヒビールの事業を発展させていく、という形にしていくことがとても重要だと考えています。

そして、そのような組織において、人事の仕事を行うのは、やはり中国人であるべきだと思っています。言語の壁もあって自分の思いや経験を伝えるのに日々苦労しておりますが、1度で伝え切れなければ2度、3度と、煙たがられない程度に(笑)、ただあきらめずにやっていきたいと思っています。

(相原)
ところで、アサヒビールに入ってよかったと思われる点は、どんな点ですか?

(西村)
飲み仲間が多いということでしょうか(笑)。 多くの社員がいつも言っていますし、社内調査でも明らかになっていますが、社内には「この会社が好き」とか「当社の商品が好き」という社員が本当に多くいます。

そういったことで強い一体感があるように思いますし、そういった一体感を大事にしようという風土があるように思います。

そのような組織の中で働けるというのは非常に幸せだと感じております。
この中国投資会社でも、難しいかもしれませんが、そういった組織になるといいなあと思っています。日本に留学した経験のある中国人の中には、「日本にいてアサヒビールは社風がいいと聞いていたから」と言った理由で当社の人材募集に応じてきてくれた方もいます。非常にありがたいことだなと思いますし、そういう意味では、この会社も一致団結して仕事に取り組む組織風土になる可能性を十分持った組織だと思っています。

(相原)
就職活動中の学生に、自社を勧められる場合、どのような点を強く訴求されますか?

(西村)
煎じ詰めれば、やはり上記に述べたようなことだろうと思っております。立派な企業というのは世の中にはたくさんありますし、当社だけが突出して素晴らしい、というのを提示するのはなかなか難しいことだと思います。

ただ、上記のような点は、自分が実感として伝えらることですし、そういった点に共感してもらえる方と一緒に働けたら素晴らしいと思っています。


(相原)
上海に赴任されて、考え方の面で何か大きな変化はありましたでしょうか?

(西村)
そうですね・・・結構歳をとってしまって柔軟性が失われてしまったのか、あまり自覚していないのが実態でして(笑)。

ただ、仕事の面では、ちょっとした気づきがありました。
1つは、この中国でアサヒビールのために一生懸命働いている中国人社員がたくさんいるということを実感したこと。これは何とも言えない嬉しさでした。同時に気づいたのは、彼らがアサヒビールに対して持っている思いやイメージ、期待することは、日本のアサヒビール社員が持っているであろうものとはかなり異なっていること、それはやはりこのアサヒビールの中国でのステイタスがまだまだ低く、それはひいては業績に大きく由来しているのだと思いますが、なかなか会社への誇りを持ちにくい状況にあるということ。業績を伸ばすのはなかなか容易にはいきませんが、それでも少なくともこの会社で働くことへの誇りをもっと持ってもらえないかと、強く思いました。そしてそれは人事部門の責任範囲の中でやり遂げなければならないものとも思いました。

2つめは、この会社の業績の鍵を握っているのは他ならぬ彼ら中国人社員であること。彼らのモチベーションを高め、業務レベルを高め、持っている力を100%発揮してもらうことなくして、この中国で業績を上げることはまず不可能であることを実感しました。日本人がどんなに頑張っても、中国人市場で商売をすることにはどうしても限界があることを知りました。

3つめは、グループ本社が考えるグローバル化、グローバル人材育成という文脈から、彼ら現地社員が往々にして忘れ去られやすい状況にあること。私も東京にいる時にはほとんどそのことを意識できませんでした。これはどうしても現地にいないと分かりにくいことだと思います。そのためにも、ちゃんと東京に情報を提供し、意思決定の際に考慮に入れてもらえるようにすることが、自分がここにいて仕事をしている責務の一つでもあると思っています。


(相原)
最後に、仕事上大切にしていること、信条などをお聞きできますでしょうか?

(西村)
あまり普段意識しているわけではないですが、敢えて言えば・・・社員を信じること、明るく仕事をすること、人のせいにしないこと、でしょうか。 あとは嫌な仕事とか、膨大なボリュームの仕事に直面した時などは、以前の同僚に教えてもらった言葉ですが「仕事はやれば終わる」と思うようにしています。

(相原)
今回は、当方のわがままで、往復書簡という不便な形式にお付き合いいただき、また、示唆に富んだ数々のコメントをいただきまして、誠にありがとうございました。こちらは質問をし、返答を楽しみに待っているだけでしたが、返答を書かれる方はさぞ大変であったものと思います。たいへんお世話になりました。 年末年始の頃にはお目に掛かれますでしょうか?ご帰国を楽しみにお待ちしております。

(西村)
相原さん、こちらこそどうもありがとうございました。質問を受けていて、改めて自分の中でぼんやりとしていた考えや思いを、目に見える形にすることが少し出来たように思います。そういう意味では大げさかもしれませんが、一種の自分発見のような感もありました。

残念ながら年末年始は日本に戻る予定はありませんで、可能であれば旧正月(今年は1月下旬ですが)に一時帰国してみようかと思っております。機会がありましたらまたお会いできますとありがたいです。


(完)

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