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対談「光と影と表と裏」

多くの企業の方々と関わりを持つことができる点が、私共のような仕事をする者の一つの喜びです。そのような中でも、特に人間的魅力に溢れた方々のうち何名かにご協力をいただき、数度にわたりお話を聞かせていただく予定です。・・・(続き)
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Vol.1-2
山崎正晴さん(横河電機株式会社 執行役員 人財本部長)
×相原孝夫

キー語録(vol1-2)
人に対してはわりとポジティブに考えています。
モチベーションを維持できる自信はあります。
理念に共感しています。
新入社員も会社に入ってから変わるので、あまり心配していません。

人に対してはわりとポジティブに考えています..

(相原)
前回の話の中で、「うまくいかない時にやり抜く力」というのは、経験である程度養われるということをお聞きしました。とはいえ、昨今の若年層社員は特に「耐える力」が弱いと言われていますが、やはりそのあたりは、そう思われますか?

山崎正晴氏

(山崎)
若年層社員に対しても割とポジティブに思っていまして、やはり中国での経験が大きく影響していますが、潜在的には誰しも十分なやり抜く力や耐える力は持っていると思っています。

中国の新工場立上げでは、中国人の現地社員が1000人くらいで、日本から100人くらい応援に来てもらっていました。

毎朝会社に行くと、まずは工場の中を歩くんですが、駐在員や現地のマネジャーたちが全員出社していることを確認して、ほっとするんですね。いろいろな問題が次から次へとおきて、移管がうまく進まなかったときは、みんな精神的にもかなり追い詰められていましたから、それこそ、メンタル面で最悪の事態も想像してしまったりするんですね。

現地の中国人マネ-ジャ-たちは、マネ-ジャ-といっても日本よりもずいぶん若いのですが、それこそいろんなタイプの人がいて、育った環境が異なり、ほとんどが一人っ子で、一見協調心がなさそうな人もいましたが、結局、一人の脱落者も出さずに皆で乗り切れました。それ以来、私は人に対しては、結構ポジティブに考えるようにしています。見た目や表に出るアクションとかは、「なんだこいつは」というような人も確かにいますし、とにかくいろんな人間がいますよ。それでも、誰しも潜在的には十分な耐性を持っているのではないかと思っています。

(相原)
表面的にはともかく、誰しも潜在的には力がある、と思われているわけですね。

(山崎)
そう信じています。

(相原)
信じている上司の傍で、修羅場体験をさせるというのが、耐性を育てるという意味から理想的なんでしょうね。

(山崎)
中国の工場立上げについていえば、ともかく上の人間がえらかったと思います。よく我慢していただいたな、とほんとうに感謝しています。当時、日本の会社で中国の拠点の総経理の場合、かなり年長者で経験豊富な人が行っているケースが多かったので、私は蘇州では日系企業の総経理としては最年少の方だったのではないでしょうか。各社の総経理の集まりがあって、ホテルのロビーに立っていたりすると、よくボーイさんに間違えられたりしたものです。よくそういう若造を行かせてくれたなと思います。移管がうまくいかなかった時なども、辛抱して見守ってくださった。われわれのような現場での我慢よりも、そうした辛抱の方が大変だったと思います。

モチベーションを維持できる自信はあります..

(相原)
次に、モチベーションについてお聞きしたいと思います。ハイパフォーマーはともかく、出世を半ばあきらめてモチベーションが低下している人も少なくないと思いますが、そうした人たちのモチベーションについてはどうすればよいと思われますか?

(山崎)
自分自身のことで考えてみると、仮に一線から外れても、それだけが理由でモチベーションは下がらないと思っています。一時的には下がるかもしれませんが、ずうっと下がりっぱなしのままではいない自信はあるんですね。自信の源が何かはよく分からないですが。モチベーションの源泉って、人によっていろいろ違っていて、自分でも気付いていない人が多いという気がしています。人事という立場では、そこを模索して、できるだけ普遍的なモチベーションのドライバーを捕まえて、それを何らかの仕組みに落としていく必要はあると思っています。

(相原)
ご自身としては出世そのものにモチベーションの源泉はないということですね?

(山崎)
ポジションによって、家庭では考えられないような大きなお金を動かしたり、いろんな方々と一緒にできる場面もありますし、勝負事みたいな要素もあります。そういうところは面白みであり喜びなので、そういうことがなくなったら寂しさのようのものは感じるかもしれませんが、状況が変われば、また別のトライをして新しい経験をしようじゃないかというような形にはできると思います。そこできっとまた考えると思います。

理念に共感しています.

相原孝夫

(相原)
横河電機に入ってどんな点が良かったと思いますか?

(山崎)
スポーツで入ったようなものですので、入社時は、正直言ってあまり会社のことを知りませんでした。入ってから、どんどん愛社精神が芽生えまして、人としての集合体なので、その集合体の持っている空気というか雰囲気というか、風土というよりはもっと明るくてカラッとしたもののような気がするんですが、そういうのがあるように思います。

(相原)
横河電機は独自色の強い会社だと思いますが、そうした特徴の中で気に入っているところはどんな点ですか?

(山崎)
理念に共感しています。当社の企業理念は二つのパーツからできているんですけれども、「計測と制御と情報をテーマにより豊かな人間社会の実現に貢献する」「YOKOGAWA人は、良き市民であり、勇気を持った開拓者であれ」これに共感しているし、そうありたいと思っています。

制御と計測という分野で仕事させてもらっているのは、当社の社員にとっての誇りの一つだと思います。マザー産業といわれる分野ですし、生産財なので地味ではありますけれども、そういう分野で社会貢献できればというように強く思っています。

(相原)
愛社精神という点は、今後は再びクローズアップされてくるのではないかと思いますが、入社後いつ頃から愛社精神というのは高まってくるものなんでしょうか?20代と30代とでは大きく異なるということを多く聞きますが。

(山崎)
学生時代の同期と同窓会で集まる機会がありますが、私などは体育会だったので合宿所生活をしていて、それこそ同じ釜のメシを食べた仲間たちです。それが、それぞれが就職して何年か経つと、それぞれの会社の雰囲気みたいなものを感じるようになってくるものなんです。そういう雰囲気を感じ始める頃から、おそらく愛社精神が芽生えるような気がします。5、6年ではそういう雰囲気にならないんですよ。10年くらいという感じかもしれないなと思います。

新入社員も会社に入ってから変わるので、あまり心配していません..

(相原)
会社への思い入れ、愛社精神は、最近薄れつつあるようですが、やはり仕事をしていくうえで大切なものですよね?

山崎正晴氏

(山崎)
そう思います。会社は人の集まりなので、集まっている人が何で頑張るのかといえば、やはりロイヤリティとか、集団への帰属意識だとか、割とシンプルなことではないかと思っています。あまり難しい理屈ではなく、もっと人間の原初的な欲求に動かされるのではないかと思います。

(相原)
愛社精神が薄れている中で、会社としては、どんなことが必要でしょうか?

(山崎)
これはもう、理念に立ち返るしかないと思います。会社での仕事やお客様とのやりとりを通じて、積み上げていくしかありません。魔法のような施策はないと思いますので、もし薄れてきてしまっているとしたら、またこれから何十年か掛けて仕事を通じて積み上げていくしかないと思います。

人事的にいうと、ミドル層が大切だと思います。同窓会で会社の雰囲気が出るようになるまでの10年くらいの間を直接マネジメントするのはミドルですから。精神文化の伝承という面から、ミドル層は非常に重要と思います。

(相原)
新入社員の昇進意欲が薄れているという状況が一般的にあるようですが、昇進意欲も愛社精神につながるところであろうと思いますので、やはりそうした状況は危ぶまれる点でしょうか?

(山崎)
いろいろ雑誌のデータを見たり、他社の方のお話を聞いても、そういう状況はあるようですが、新入社員も会社に入ってから変わっていくので、あまり心配していません。いろいろ経験しながら、何回も何回も変身して当社らしい社員になっていくという感じなので、新入社員について言われるような一般論は、個人的にはほとんど気にしていないですね。

スポ-ツでも賭け事でも、勝ったり負けたり、うまく言葉で説明できませんが、そういう勝負事に似たような体験を通じて、意欲のようなものは変わっていくと思います。そうした経験を積んで変身していくということ自体は、決して薄れていないと思います。 (続く)

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