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≪人事の明日を考える≫

このコーナーでは、企業の人事担当者の方々に登場頂き、将来的な人事課題や、ご自身の今後のキャリアなどについて幅広く語って頂きます。

『効果的な若手社員育成を行うには何が必要か』(後編)
語り手: グループ人材開発担当(情報通信大手のグループ企業。社員数:1万人規模)

今回は若手社員の育成について取り上げます。ホールディングカンパニーでグループ全体の若手育成を担当されている方にお話を伺うことができましたので3回に分けてお伝えします。今回はその3回目です。

-特に注力されている若手育成の仕掛けとして、「シナリオ作り」、「ファシリテーター」、「モニターとサーベイ」といったユニークな取組みをお聞かせいただきましたが、結果として、これまでのところ若手育成はうまくいっているのでしょうか?

こうした取組みを始めたのは数年前からですので、それ以降ということでいうと20代後半(4~5年目くらい)までに関しては今のところ順調に進んでいますね。モニターやサーベイでもデータが上がってきており極めて順調だと思います。 また、ファシリテーターを経験した5~10年目までの社員にもいい影響が出ていると思います。ファシリテーターとして短い期間ながらも人を育てることに挑戦し、多くの苦労をしたことで成長に繋がっているようです。ファシリテーターとしてのチームマネジメント経験を活かし、現場で高いパフォーマンスに繋げているという声が現場から上がってきています。

-今のところ順調に育成が進んでいるとの事ですが、一方で、若手育成で今後の課題などはどのようにお考えですか?

必ずしも若手育成だけに限った話ではないですが、対象者よりも育成を行う我々人事側の課題を感じています。 一番頭を悩ませているのは、若手社員をリードする人事部門メンバーの経験だとか感性だとかそういったところが乏しいので、これをどのように獲得していくかですね。人事部門のメンバーの特性なのかも知れませんが、人事面での法的対応や事務手続など見えやすいゴール設定や職務遂行に走る人が多くて、なかなか新規創造型の仕事に取組む意欲ある方が少ないのではないかと思いますね。専門家としての知識云々も必要ではあるのですが、もうちょっと人を育てるとか、人を励ますとか、人に勇気を持たせるというところについて当の人事部門メンバーのレベルがもう少し高くなっていかないといけません。これは当社だけの話ではないのかも知れませんが、人事という「人」というものが付く部門の人達の方がそれっぽくなかったりする。もしかしたら欧米から入ってきた人事戦略や人事施策を展開することに日本の人事部門の仕事や視点が偏っているからかも知れませんね。例えば人事制度を作ります、育成基盤を作りますといっても、そんなのはどこか他社の事例があるので、それをやりましたといってもそれはオペレーションレベルに過ぎないですよね。

そうしたオペレーションレベルで止まるのではなく、経営に対してどんな価値を与えていくか、そこが重要だと思います。その中で一番難しいのは何か、それは経営トップの候補者をどうプールしていくのかだと思います。また5年後、10年後といった組織の将来にコミットする人材を作っていくことではないかと考えています。こうした観点からすると、まだまだ育成を担う側の課題は多いですね。

-若手育成に取組んでおられる他社の方々に対するアドバイスなどはありますか?

はやり組織内での整合性を持たせることではないでしょうか。研修で学んだことが現場で行われていることと全然違うようなことがないようにというのは当然ですが、研修で学んでいる間に平行して、どうやって受け入れる現場の環境・体制というのを作っていくかとか、そういった整合性が必要でしょうね。例えば、若手に研修をして、その後の管理職研修とかで上長の認識やスキルを整えるのではなく、部下の若手が研修している間に上司にどう受入れ準備をしておいてもらうか、そこをうまくタイミングを合わせていくことが一つキーになると思いますね。 というのは、研修期間が終わって、学んだいろんなことを一番試したい、誰かに話したいという時に、上司から「研修で学んだことを皆に話してみてくれないか」とかいってもらえたり、そこで学んだ内容に関連する仕事を与えられたら違いますよね。つまり、どう若手の心に焼き付けるかだと思うんですよ。だから若手に研修を行っていくと同時に、職場の環境をどうやって作っておいてあげるかというのが大事ですね。

それから、何を知ってるかとか何を学んできたのかということよりも、何ができるべきかということをもっともっと人事部門が知恵を働かせて考えることがすごく大事だと思いますね。個人のパフォーマンスとか組織のパフォーマンスとかいう言葉をよく使われますが、どこの会社でもできること、パソコンでもできることではなくて、自社の社員でしかできないこと、もっと言ってしまえばこいつでしかできないことというのを見出してトレーニングしていくような、自分の子供を育てるようにその人を見ていかないと、なかなかこれからの時代を打ち勝つような人材というのは育てられないような気がしますね。今までのように機械に同一のプログラムをインストールするような感じではこれからは成り立たないのではないでしょうか。でも実際には過去に一生懸命学んでこられた方が多い要員構成になっているはずなので、そこは大きい課題だと思いますね。

あとは、昨今組織力、組織力というふうに言われているように、なんだかんだ言ってシナジーを生み出す統合マネジメント力、その強化というものが大きな課題なんじゃないのかなと思いますね。それを軽視して個人のパフォーマンス向上のみに注力しても、なかなか最適な教育投資というのが図れないのではないかという気がします。だからもうちょっと個人の知識習得などはその個人に依存して、組織のコラボレーションとか互いに何を生み出すのかという組織力の強化のところに思いっきり集中していったらいいと思いますね。

もう既に基礎的な実務遂行を支援するだけの時代は終わっていて、その実務遂行に必要なヒューマンネットワーク(社内外の人脈形成)というものをいろんな世代に対して支援するということとか、組織的点な問題を顕在化させたり会社の将来へのコミットメントを高めたり、中長期的な観点で真のリーダーを発掘したり。そのへんをいろんな仕組みを活用して総合的に機能させていくことが今後のあるべき人材育成じゃないかとそういうふうに思います。

ご協力ありがとうございました。

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