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  4. 【コラム】第77回 品質かスピードか
コラム

品質かスピードか

前回は「打たれ強い若手」について述べた。今回は、「打たれ強い人」とともに現場の人気の高い「バイタリティのある人」について述べたい。「元気がいい」というのは最も分かりやすい要素でもあり、また、職場にも好影響を与えるので、上司の立場としてはぜひとも求めたい資質であろう。ビジネス上、よく、「品質」か「スピード」か、どちらが重要か?という究極の選択にも近いことが言われることがあるが、若手に関していえば、どうやら「スピード」というのが正解のようである。

例えば、ある件に関するレポート作成の課題を与えたとする。納期ギリギリまで使って完成度の高いものを出そうとする若手社員はどうであろうか。上司の立場としては、リスクを感じるのではないだろうか。雑でもいいから早め早めに途中経過を見せて欲しいと思うのが上司の立場としての本音であろう。どのようなレポートを作成しようとしているのか、ざっくりとしたものでも早めに見せてくれれば、方向性が違っていてもその段階で軌道修正が効く。しかし、納期ギリギリになってそれが分かっても、もはや後の祭りだ。

若手社員の場合には、最初から期待したような高品質のアウトプットが出せるわけではないので、納期までに依頼者と何度すり合わせることができるかに品質が掛かっていると言ってもよい。早めにすり合わせの機会を持てれば、依頼者の期待値やゴールイメージを確認することができる。「品質」か「スピード」かということについて言うなら、品質が重要でないということではなく、スピードがあれば品質をカバーできるということだ。

こうしたことはあらゆる業務について言える。結果として、スピード感を持って業務を進められる人はトライ・アンド・エラーを繰り返し、同じ時間内でも他の人の何倍もの経験をすることになる。業務遂行のスピードが速いということは、より多くの量をこなすことができるということだ。質は量から生まれるといってもよい。

ビジネスはスポーツに喩えられることが多いが、スポーツにおいてはとにかく練習量をこなさなければ技術的なレベルは上がっていかない。どんなスポーツでも例外なく、一流選手は皆、“練習の虫”なのだ。特に、まだ未熟なレベルにおいては、練習の効率ばかりを考えているようでは、いつになっても上達はしない。要領のいい若手はなぜ伸びないのだろうか。端的に言えば、経験値が少ないからだ。失敗経験も、無駄な経験も含めて、がむしゃらに愚直に突き進む人は、そうしたプロセスの中で様々なことを経験し、結果としてあらゆる状況に対処できるようになるのだ。

また、バイタリティがあり、スピード感を持って業務を進める若手は、当然ながら上の立場の人たちの目にも留まりやすい。他のどんなことよりも目に留まりやすいともいえる。結果として他の人たちよりも早く出世しやすい。昇進昇格を決めるにあたって重要なことの一つは、周囲の納得性である。「どうしてこの人が?」というような人事をしてしまえば、多くの人たちの気持ちが腐ってしまう。従って、上司や人事部門はこの点をたいへん重視している。そういう点においても、圧倒的なスピードで、人一倍の量をこなせる人を抜てきすれば周囲も、「○○さんなら仕方がない、納得」ということになる。同時に、会社として、若手社員には○○さんのような仕事の仕方をして欲しいというメッセージにもなるのだ。


プロフィール

元マーサージャパン株式会社 代表取締役副社長。マーサー社ではコンピテンシーに基づく人材の評価、選抜、育成および組織開発に関わるプロジェクト、日系企業海外現地法人の現地化推進等のコンサルティングのほか、コンサルティングノウハウのITプロダクト化、提携戦略等による新規事業開発に従事。現在は、継続性と実効性を確保できるマネジメント手法の開発および普及に力を注ぐ。著書に、『会社人生は評判で決まる』(日本経済新聞社)、『コンピテンシー活用の実際』(日本経済新聞社)、『チームを活性化し人材を育てる360度フィードバック』(共著、日本経済新聞社)、『図解戦略人材マネジメント』(共著、東洋経済新報社)ほか。日本人材マネジメント協会(JSHRM)幹事等を歴任。

写真:南雲 道朋(なぐも・みちとも)
株式会社HRアドバンテージ代表取締役社長
相原 孝夫(あいはら・たかお)

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