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  4. 【コラム】第76回 現場から人気の高い「打たれ強さ」と「バイタリティ」
コラム

現場から人気の高い「打たれ強さ」と「バイタリティ」

現場の管理職の人たちに、「どんな若手を部下として欲しいですか?」と聞くと、最も多く出てくるのが「打たれ強い人」と「バイタリティのある人」だ。今も昔も変わらない感もあるが、昨今はパワハラなどが声高に言われるご時世でもあり、とにかく神経を使わずに接することができる強い部下を求めているということもあろう。

確かに、打たれ弱い部下であったら、叱りつけたら「うつ」になってしまいそうで扱いが難しい。バイタリティのない部下の場合は、健康を害してしまわぬよう、負荷の状況に気を配る必要がある。どちらもピープルマネジメントとして必要なことではあるが、そのような部下が比較的多いがゆえ、加減せずに叱ることができたり、キャパシティが大きく頼りになる部下がいると、非常に魅力的に映るということもあるであろう。
今回は、このうち「打たれ強さ」ということについて以下述べたい。

「打たれ強い」という要素は、成長に大きく関わっている。若いうちから完璧な仕事ができるわけはなく、現場では何度も叱咤を繰り返しながら育てていくことになる。打たれ強ければ、その都度叱られ、どんどん成長する。しかし、打たれ弱いと、周囲は叱りづらいので成長も鈍化してしまうことになる。

実際に部下を持ってみると、この違いは個人差がたいへん大きいものである。躊躇せずにダメ出しできる部下もいれば、へこませると本人がリカバーするまでに時間が掛かるので、本来行うべき指導ができずに、できるだけ傷つかないように配慮しながら修正させざるを得ない部下もいる。もちろんそれら両者の数年での実力の伸び方には雲泥の差が出ることになる。難しく重要な仕事をどちらのタイプに任せるかといえば、やはり常に前者になるので、そうした機会を通してどんどんレベルアップしていくことができる。

「たくさん怒られた方が後々伸びる」とよく言われる。怒られる場面で怒られなければ、そこで学べたはずの重要なことを学び損ねることになるわけだから当然であろう。ゆえに、「怒りがいがある」と言われるくらいでちょうどよいのだ。上司としても、よく怒っている部下の場合、何ができて何ができないのかがよく分かるので、安心して任せられる。どこをサポートすればよいかも分かる。そういう部下をどんどん取り立てるようになり、そうでない部下とはどんどん距離が広がることになる。

優秀な若手社員の中には、「失敗をしたくない」という思いが非常に強い人もいる。上司や先輩から何か指摘されたりすることに対して必要以上に過敏で、傷つき易いのだ。こういうタイプに決定的に欠けているのは成長の観点だ。自己成長の観点があれば、「不完全な未熟な自己」という前提があるので、怒られて当たり前なのだ。怒られなければ成長できないことは自明だが、それを怖れてしまい、言われたことを言われたとおりにしかやらなかったりする。

より深刻なのは、何ができて、何ができないかを、当人自身が分からないことだ。他のメンバーがやっていることを見える部分だけを見て、自分でもできると勘違いしたりする。そういう場合、「なぜ自分にやらせてくれないのか」と不満を持ったりもする。「なぜいつも怒られてばかりいるあいつにやらせるのか」と。自分が戦力になっていないことに気づいていないのだ。

若いうちからちっぽけなプライドが邪魔をして、もっともらしい御託を並べる人は、早い時点で成長がストップする。優秀がゆえに残念なことである。そういう人は入社時点では優秀であっても、入社時点ではそれ程でもないが泥臭く頑張れる人に数年後には追い抜かれ、どんどん引き離される結果が待っている。ゆえに企業としては、その時点での優秀さよりも、打たれ強さや素直さなど、「伸びしろ」を重視して採用するのが正解であろう。


プロフィール

元マーサージャパン株式会社 代表取締役副社長。マーサー社ではコンピテンシーに基づく人材の評価、選抜、育成および組織開発に関わるプロジェクト、日系企業海外現地法人の現地化推進等のコンサルティングのほか、コンサルティングノウハウのITプロダクト化、提携戦略等による新規事業開発に従事。現在は、継続性と実効性を確保できるマネジメント手法の開発および普及に力を注ぐ。著書に、『会社人生は評判で決まる』(日本経済新聞社)、『コンピテンシー活用の実際』(日本経済新聞社)、『チームを活性化し人材を育てる360度フィードバック』(共著、日本経済新聞社)、『図解戦略人材マネジメント』(共著、東洋経済新報社)ほか。日本人材マネジメント協会(JSHRM)幹事等を歴任。

写真:南雲 道朋(なぐも・みちとも)
株式会社HRアドバンテージ代表取締役社長
相原 孝夫(あいはら・たかお)

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