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  4. 【コラム】第60回 40代という危機
コラム

40代という危機

先週、ある週刊誌の取材を受けた。テーマは「40代の危機」についてであった。読者の年齢層が上がってきたということで、ここのところ同様のテーマで次々と特集を組んでいるようだ。企業を訪問しても、「中高年のモチベーション」が重点課題として挙げられることは多く、この点は企業の側にとっても切実な問題である。

企業では人員構成上、ポスト不足により、役職に就いていない40代も当然ながら多い。40代になればその多くが管理職のポストにあり付ける時代は、もう20年以上も前のことだ。中には、肩書きだけ軽々に多発する会社もあり、一つの課の中で課長と呼ばれる人が4人も5人もいるような会社まである。そんなことをしても問題の解決にならないことは、企業の側でも承知している。しかし、それくらいしかモチベーションを維持する手立てがないということだろうか。

ラインマネジャーとしての役職者ではない40代は、モチベーションの問題が起こりやすく、会社としても扱いづらい存在だ。同期や年下の者が当人の上司となっているような場合にはさらに問題は深刻となる。悪くすると、拙著『会社人生は「評判」で決まる』の中で述べた、評判の悪い人の典型例の一つである「評論家」となってしまう。先が見えてしまい、出世を半ばあきらめている場合には、あまり労力は割かずにほどほどにやっていきたいとの思考になりがちだ。しかし、年齢的に一定のプレゼンスは保っておきたいので、口は出す。結果として、口は動かすが手は動かさない「評論家」となっていくのである。

「それはやはり40代特有の問題ですか?」と取材に来られたライターの方が問われていたが、大雑把に言えばそう言えるであろう。30代の間はまだ先が十分に見えていないこともあり、あきらめてはいない。そこまで疲れてもいない。一方、50代も特に半ば過ぎになると、今度は職業人生のゴールが近づいてくるので、いろいろと考えるところが出てくる。残された職業人生を充実させようとの意識も生まれてくる。人間的に丸みを帯びてくるということもあるであろう。こう考えると、40代というのは先がおおよそ見えてはいるものの、まだ先はだいぶ長く、一種の中だるみの状態にあるともいえそうだ。

「評論家」などがチームに一人でもいると、他メンバーのモチベーションにも影響し、職場力も低下しがちだ。「ではどうすれば、そういった40代社員は、そうならずに済むのでしょうか?」と、やはり次の質問はそうなる。なんらか奇策があるわけではないので、至極当たり前のことを答えなければならなくなるわけだが、リーダーでなくとも、「この人にいてもらわなければ困る」という人になるというのが真正面からの答えであろう。いわば、”余人を持って替え難い”という存在だ。ただし、これは何も専門知識のことだけではない。後輩の相談役になるとか、社内の根回しの支援をするとか、リーダーとメンバーの橋渡しをするなど、貢献の仕方は多様にあるはずだ。チーム内の自分の位置づけや役割というものをよく考え、動ける人は、評判が落ちることはない。

逆にいえば、チーム内の40代の人たちの振舞い方次第で、チーム力は左右されるといってもよい。それゆえ、自分がどういう立ち居振る舞いをすることがチーム力の向上につながるのかを考えて動くことは、40代メンバーにとってはとりわけ重要だ。こう考えてくると、たいへんネガティブな問題から入った議論ではあったが、多くの企業が抱える問題を解決する糸口を探るための、実は極めて建設的なテーマ設定であったということを最後の方になって再確認した。

取材の最後に、「ジョーク的に笑いをとるパートとして付け加えたいのですが、たとえば、今にもクビになりそうな40代があと2年間延命するためには?というようなことを考えた場合、何か妙案はありますか?」と聞かれた。まず頭に浮かんだことをやはり冗談半分に答えた。「釣りバカ日誌のハマちゃんのように、社長の釣りの師匠になるなど、上司と同じ趣味を持つということは考えられるかもしれませんね」と。かつての職場にも、“アウトドアおたく”とも言える人がおり、仕事上はあまり冴えなかったが、連休などには職場の連中を引き連れてアウトドアへ出掛けていた。

もちろん本筋ではないが、仕事以外の面であっても職場メンバーにとって何らかの役立ちがある場合、評判は悪くはなりづらい。また、職場外での付き合いもあり、いろんな顔が見えている場合は、互いに理解し合っているという意識や安心感により、仲間意識が強くなる。仲間意識が強い場合には、仮に仕事上多少の不具合があったとしても、互いに助け合ってなんとか乗り切っていく。そのような場合、必ずしも、チーム力が落ちることにはならない。むしろ、仕事はできても不機嫌さを周囲に振りまいているような40代がいるような場合よりは、はるかにチームの生産性は上がるに違いない。

プロフィール

元マーサージャパン株式会社 代表取締役副社長。マーサー社ではコンピテンシーに基づく人材の評価、選抜、育成および組織開発に関わるプロジェクト、日系企業海外現地法人の現地化推進等のコンサルティングのほか、コンサルティングノウハウのITプロダクト化、提携戦略等による新規事業開発に従事。現在は、継続性と実効性を確保できるマネジメント手法の開発および普及に力を注ぐ。著書に、『会社人生は評判で決まる』(日本経済新聞社)、『コンピテンシー活用の実際』(日本経済新聞社)、『チームを活性化し人材を育てる360度フィードバック』(共著、日本経済新聞社)、『図解戦略人材マネジメント』(共著、東洋経済新報社)ほか。日本人材マネジメント協会(JSHRM)幹事等を歴任。

写真:南雲 道朋(なぐも・みちとも)
株式会社HRアドバンテージ代表取締役社長
相原 孝夫(あいはら・たかお)

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