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  4. 【コラム】第47回 評判のいい人(1/2)
コラム

評判のいい人(1/2)

以前に、当コラムで「評価」と「評判」について述べた。また、「パーソナル・レピュテーション・マネジメント」の勧めという内容についても書いた。今回はその流れで、「評判のいい人」とはどんな人なのかについて、少々気楽に考えてみたい。まずは例によって、筆者のライフワークでもあるハイパフォーマー分析から窺い知ることができる点から述べていきたいと思う。

ハイパフォーマー分析は、まずはハイパフォーマーを選定頂くことから始まるが、かつては「継続的に高い業績を挙げている人」という条件のみを伝えて選定頂いていた。すると、一つ興味深い点があることに気付いた。それは、対象者に対する事前紹介の違いである。予備知識として、インタビュー対象者の一人ひとりについて、事務局の方から事前に簡単な説明をして頂くわけだが、対象者によって説明の仕方が明らかに異なる。熱の入れ方、気持ちの込め方と言った方がいいであろうか、それがまったく異なるのだ。

ある時は、当人の基本事項が書かれている書面には目もくれず、その人はどんな人なのかということについて、活き活きとした表情で話す。その一方で、書面に書いてあることをそのままなぞるような、通り一遍の内容を無表情で話すこともある。後者のような紹介を受けると、「あぁこの人はあまり評判のいい人ではないのだなぁ」と、どうしても感じ取ってしまう。

事務局の担当者が直接的によく知らない人であるというケースもあるかもしれないが、むしろそうでないケースの方が多いように思う。営業や研究開発のマネジャーなどは、事務局である人事部の人からすれば、どなたもおおよそ似たような距離感であろうし、また、少数選定されるようなハイパフォーマーであれば知らないはずはない。ある時から、ハイパフォーマーの定義に、「継続的に高い業績を挙げている人」というだけでなく、「他の模範となっている人」という点を付け加えるようにしたところ、後者のような紹介をされるケースはほとんどなくなった。

インタビューの内容はどうであろうか。事前紹介から受けた印象による偏見は差し引いて見ても、明らかな違いがある。分かりやすい点を言えば、芳しい紹介がされなかった人の話には専門用語が多い。研究開発分野の専門用語などは筆者には分からないものが多いわけだが、それらの人たちは概して素人への配慮がない。自分の仕事について説明する際に、やたらと専門用語を多用する。「不勉強ですみませんが、○○とは何ですか? 」などと聞き返すことになる。しかし、それへの返答はたいてい次のようになる。「○○というのはつまりですね、△△が□□で・・・」というように、再び専門用語が繰り返される。

一方、模範的なハイパフォーマーの場合は、見事なほどに専門用語を使わずに自分の仕事について説明をする。まれに専門用語が入ったとしても、その直後にこちらから聞かずとも、「○○というのは、・・・」と必ず解説が入る。分かりやすく話してくれてはいるが、話の内容はたいへんに濃く、興味深く聞かせて頂くことになる。インタビューをしている側でまったくストレスを感じることはない。「むずかしいことをやさしく、やさしいことをふかく、ふかいことをおもしろく」という、井上ひさしさんの言葉が思い浮かぶ。

他にも違いはいろいろとある。聞いたことにずばり答えてくれるかどうかもそうだ。評判のいいであろう人は、気持ち良いくらいにずばりと答えてくれる。そればかりか、何を聞きたいのかを慮ったうえでの説明を付け加えてくれたりもする。「8:2の法則」でいえば、重要な「2」を確実に説明したうえで、多少それ以外の部分で味付けされるといった感じだ。

評判の芳しくないであろう人は、なかなかずばりとは答えてはくれない。質問への回答が逸れた方向へ展開していくことが多い。聞きたい点が聞けないので、もう一度話を戻しても、たいていはそれに対する答えもまた逸れていく。逸れる方向が一定しているということが多い。自分自身の特徴的な強みであったり、得意分野の方向であったりする。その一方で、シャッターを閉じている方向がある。そちらの方向へは話を持って行きたがらない。「そこは重要ではない、そこには何もない」と言外に言っているようだ。

同じ時間話を伺っても、内容量は何倍も異なる。インタビューログが、10ページと2、3ページという程に異なる。話の「密度の濃さ」の違いということになるであろう。筆者が垣間見えるのは、1~2時間のインタビューの間だけだが、一緒に働いている人たちはこれどころではない違いを日々感じていることであろう。それが事務局の担当者の紹介にも端的に表われているとうことであろう。果たして、どういう点がこれほどまでに大きな違いを生んでいるのであろうか。評判のいい人の共通点とはどのような点にあるのだろうか。次回は、それらについて考えてみたいと思う。(つづく)

プロフィール

元マーサージャパン株式会社 代表取締役副社長。マーサー社ではコンピテンシーに基づく人材の評価、選抜、育成および組織開発に関わるプロジェクト、日系企業海外現地法人の現地化推進等のコンサルティングのほか、コンサルティングノウハウのITプロダクト化、提携戦略等による新規事業開発に従事。現在は、継続性と実効性を確保できるマネジメント手法の開発および普及に力を注ぐ。著書に、『会社人生は評判で決まる』(日本経済新聞社)、『コンピテンシー活用の実際』(日本経済新聞社)、『チームを活性化し人材を育てる360度フィードバック』(共著、日本経済新聞社)、『図解戦略人材マネジメント』(共著、東洋経済新報社)ほか。日本人材マネジメント協会(JSHRM)幹事等を歴任。

写真:南雲 道朋(なぐも・みちとも)
株式会社HRアドバンテージ代表取締役社長
相原 孝夫(あいはら・たかお)

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