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  4. 【コラム】第44回 「頑張った者が報われる組織」への変革(1/2)
コラム

「頑張った者が報われる組織」への変革(1/2)

「頑張った者が報われない組織」となっていることが「閉塞感」の元凶であると、前回述べた。頑張ること、つまり勤勉が報われないことが、組織全体にそれほど大きな問題を引き起こすのだろうかとの疑念もあるかもしれない。そもそも日本人の価値観である勤勉倫理は薄れてきているとの意見もある。

「世界価値観調査」の中に、「人生での成功を決めるのは、勤勉が重要か、それとも幸運やコネが重要か」という質問がある。アメリカやカナダ、中国や韓国でも、「勤勉が大事」と答える人の比率が7割以上であるのに対し、日本では「運やコネが大事」と答える人の比率が41%(05年調査)と、先進国の中で高い方となっている。90年に25%、95年に20%であったものが、05年には41%へと急増している。

こうした結果をもって、「勤勉」から「運やコネ」に価値観が変化していると解釈してよいものかどうか。本当に日本人は勤勉な国民ではなくなったのだろうか。むしろ、価値観が変わらぬままに、そうした感想を抱かざるを得ない状況にあって、それが不満となり閉塞感となっていると考える方が妥当ではないだろうか。

たとえば、一所懸命に勉強し就職活動をしても、就職氷河期がゆえに正社員の職に就けなかった若者などは、「所詮、運やコネだ」との感想を抱くかもしれない。実際に、先の調査で「運やコネが大事」と答えている人の比率は、15~29歳が44.6%、30~39歳が44.1%と若年層で特に高くなっている。しかし、それは「運やコネ」が重要と考えているということとはイコールではないであろう。

もともと日本人は、「勤勉が報われない」ということに強い違和感を持つ民族なのだと思う。このあたりのことは、農耕民族と狩猟民族とで遺伝子レベルで異なる点と言えるかもしれない。「一所懸命やれば報われる」というのが農耕民族の精神性であり、天候という神の意思によって報われない時には、皆平等に報われないのだ。一方、狩猟民族の場合、一所懸命やっても報われないこともある、運が良くなければダメということは前提となっている。結果重視なのだ。一方の農耕民族はプロセス重視といえる。

アメリカ人ジャーナリストのロバート・ホワイティングは野球を喩えに、「“ベースボール”はplay baseballで、“野球”はwork baseballである。“ベースボール”はフィールド内が全てであり、“野球”は球場に入るまでがほとんど全てである」と日米の違いを述べている(「和をもって日本となす」角川書店)。日本ではこのように野球にすら勤勉の価値観を持ち込む国民性である。試合で最高のパフォーマンスを出すということ以上に、そこに至るまでの過程において、技を極めるためにどのような修行を積んできたかに納得し、賞賛を送る。氏は、「こうした点に、日本人の人生観ともいうべきものが凝縮されており、ガイジン選手が理解に苦しむ根源的な相違点である」と述べている。

さて、人材マネジメントを考えるにあたっては、「頑張った者が報われる組織」へ変革していくうえで、どのような点に注意すべきであろうか。「職場における仲間との協働」、「人事部への信頼感」、「プロセス重視の評価」、「成果に結び付くプロセスの支援としての育成」等、こうした点が鍵となると思われる。次回はこれらのそれぞれについて述べたいと思う。

 

プロフィール

元マーサージャパン株式会社 代表取締役副社長。マーサー社ではコンピテンシーに基づく人材の評価、選抜、育成および組織開発に関わるプロジェクト、日系企業海外現地法人の現地化推進等のコンサルティングのほか、コンサルティングノウハウのITプロダクト化、提携戦略等による新規事業開発に従事。現在は、継続性と実効性を確保できるマネジメント手法の開発および普及に力を注ぐ。著書に、『会社人生は評判で決まる』(日本経済新聞社)、『コンピテンシー活用の実際』(日本経済新聞社)、『チームを活性化し人材を育てる360度フィードバック』(共著、日本経済新聞社)、『図解戦略人材マネジメント』(共著、東洋経済新報社)ほか。日本人材マネジメント協会(JSHRM)幹事等を歴任。

写真:南雲 道朋(なぐも・みちとも)
株式会社HRアドバンテージ代表取締役社長
相原 孝夫(あいはら・たかお)

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