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  4. 【コラム】第41回 できる人は自分のスタイルを持っている
コラム

できる人は自分のスタイルを持っている

今回のテーマは、どこからのつながりかと言えば、前回の「パーソナル・レピュテーション・マネジメント」の中で述べた、「ハイパフォーマーの共通点」からのつながりです。お付き合いのある某社さんでこの話が出て、「コンピテンシーインタビューって面白いものですね。他にはどんな共通点がハイパフォーマーにはあるんですか?」と聞かれて、お話した中の一つです。

ハイパフォーマーの人たちは、独自のスタイルを持っている人が多い。少なくとも、インタビューの中からそのような印象を受けることが多い。そうした独自性を持っているからこそ、ハイパフォーマーたり得ているとも言えるであろう。

インタビューの中で、「こういう時にどうしますか?」という類の質問に対して、これらの人たちの多くは即答する。「プロジェクトを進めていく中で、関係者間にコンフリクトが生じた時」「メンバーの理解が得られづらい時」「不測の事態により大きな軌道修正が必要になった時」、はたまた「スランプに陥った時、陥りそうな時にどうしますか?」なんていう質問にもたいていは即答する。

なぜ、即答できるのか?「こういう時には、こうする」ということを決めているからである。いわゆる、仕組み化、方法論化がなされているのだ。ではどのようにして、そうなったのであろうか?うまくいった時、いかなかった時、成功した時、失敗した時、その時々でなぜこうなったのかと考える。その積み重ね、いわば実践でのケーススタディーの繰り返しで経験則が蓄積される。それがさらに磨かれていく。そうしてスタイルとして形成されると考えられる。

その時々で原因を考えず、すべてを流してしまうような場合、再度同じような場面に出くわした時にも、相変わらず場当たり的な対応をとることになってしまう。そもそもビジネス上、成果を左右するようなクリティカルな場面というものは、そう多く存在はしないとも考えられる。同じ職種で仕事をし続けるのであれば尚更だ。よって、このような経験的な一種のパターン分けは十分機能すると考えられる。また、そうした基本行動が身に付いているからこそ、イレギュラーな状況にも対応しうるとも考えられる。

一方、考える癖が無いような場合にも、体に覚えこませるくらいに経験を積んだ場合は、暗黙値となって蓄積されることもある。そういう人は先のような質問に即答はしない。自らも意識していない。しかし、そういう場面に至れば、体が反応する。たたき上げと言われるような、その道のベテラン社員に多いタイプだ。しかし、この手の人たちは部下や後輩を育成することができないという難点がある。

さて、スタイルの中身についてだが、独自のスタイルというのは、いわば“強み”である。特筆すべき強みがなければ、ハイパフォーマンスを上げ続けることはできないであろう。強みがスタイルを形成する。何らかの強みがなければ、スタイルは築けないといってもよい。強みを磨くには鍛錬が必要だ。職人の練り上げられた技も、武道における型も、鍛錬なくしては築けない。

大リーグのイチロー選手は、天才と形容されることが多いが、本人は才能があるとは言っていない。「才能があるとすれば、努力できる才能だ」と述べている。人一倍の練習量によって磨かれた技、それによって独自のスタイルを築き上げたのだ。

たとえば、「人の懐に飛び込むのがうまい」というのは、対人関係力に絶対的な強みがあるということだし、「嗅覚が鋭い」という場合は、情報感度や戦略的思考に秀でているということだ。「大風呂敷」と言われるようなことも、大きな絵を描いて示すことができるという強みである。論理的な思考展開、物事の分かりやすい伝達・共有、他者の動機付けなどもそうだ。よりスキル的なことで言えば、Excelの達人、アポとりの達人、根回しの達人等々、それらをきっかけとして独自のスタイルを築いていることも多い。

そうした意味では、「○○の達人」を目指すのが早道かもしれない。実際に、そうした自らの意識付けをきっかけとして独自のスタイルを身に付けた人も多い。逆に言えば、弱みを改善したところで、独自のスタイルを確立するのは難しいということだ。サッカー元日本代表監督のオシム氏は、「短所をどうやって長所で補うか。サッカーはそういう意味で人生と似ている」と述べている。こうした点は人材育成を考えるにあたって重要であるに違いない。

プロフィール

元マーサージャパン株式会社 代表取締役副社長。マーサー社ではコンピテンシーに基づく人材の評価、選抜、育成および組織開発に関わるプロジェクト、日系企業海外現地法人の現地化推進等のコンサルティングのほか、コンサルティングノウハウのITプロダクト化、提携戦略等による新規事業開発に従事。現在は、継続性と実効性を確保できるマネジメント手法の開発および普及に力を注ぐ。著書に、『会社人生は評判で決まる』(日本経済新聞社)、『コンピテンシー活用の実際』(日本経済新聞社)、『チームを活性化し人材を育てる360度フィードバック』(共著、日本経済新聞社)、『図解戦略人材マネジメント』(共著、東洋経済新報社)ほか。日本人材マネジメント協会(JSHRM)幹事等を歴任。

写真:南雲 道朋(なぐも・みちとも)
株式会社HRアドバンテージ代表取締役社長
相原 孝夫(あいはら・たかお)

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