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  4. 【コラム】第33回 管理職が機能するためには何が必要か、評価はどうあるべきか(3/4)
コラム

「管理職が機能するためには何が必要か、評価はどうあるべきか」(3/4)

《望ましい環境をつくるためのWHAT》 

「管理職の再教育」と切り取らずに、どうすれば管理職が機能しやすい環境がつくれるのでしょうか。WHAT(何をする必要があるか)とHOW(どのようにする必要があるか)のそれぞれの観点がありますが、今回はまず、WHATについて述べたいと思います。

(1)人材像

管理職が機能しやすい環境づくりのために、最初に行うべきは、管理職の役割をはじめ、メンバー各々の果たすべき役割を鮮明にすることである。思いのほか、この点で足踏みをするケースは多い。管理職であっても何をすればよいか分からず、会社が期待する行動が取れていないというケースは多い。一般に行動が起こらない場合の理由としては、①何をすればよいか分からない、②どのようにすればよいか分からない、③それを行う能力が身についていない、の三つがあるが、中でも①が圧倒的に多い。メンバー各々の役割を鮮明にするにあたってまず重要なことは、職場のリーダーである管理職の役割を明確にすることである。リーダーの役割が明確になれば、サブリーダー的なポジションの役割も鮮明になり、フォロワーであるメンバー一人ひとりの役割も鮮明になってくる。逆に言えば、リーダーである管理職の役割が明確にならない限り、その他のメンバーの果たすべき役割は明確にはならず、チームとしてうまく機能しない状態が続くことになる。

期待される役割とは、一言でいえば「人材像」ということになるが、この「人材像」の定義はそれほど簡単なことではなく、ここが一つのハードルとなる。まず、どの単位で「人材像」を括るかという点がある。次に、「人材像」を何で定義するか、知識か能力か行動か、という点がある。

「人材像」定義の単位については、何に優先度を置くかによって決まると言ってよい。「管理職としての基本行動」という点に重点を置くのであれば管理職全体を一つに括るということになるであろうし、「部長層と課長層の役割の違い」に重点を置く場合はその二つに括ることになる。「職種別の成果行動」に重点を置く場合は職種別の括り方となり、「理念の浸透」というような全従業員に関わる点に重点を置くのであれば全従業員が一つの単位となる。次に、「人材像」を何で定義するかであるが、これは人材育成に大きく関係するため、その観点からも重要だ。知識で「人材像」を定義すれば、「それらの知識を習得させること」が育成となり、行動で定義するならば、「そのような行動をとれるようにすること」が育成となる。管理職を対象として考える場合、主として管理職として必要な「マネジメント行動」に育成の主眼が置かれることになるため、その場合、行動で定義することが妥当性を持つことになる。

(2)「新しいマネジャー人材像」の紹介

「人材像」の定義には、以上のような難しさが伴うため、極めて重要性が高いにも関わらず、各社において明確にされていないケースも多いようだ。昨今特に、ミドルマネジャーに求められる要件が大きく変容しており、それが明確化されていないことで、「人材が育たない」、 「適正な評価ができない」、「適正な配置・昇進昇格ができない」という状況が多く起こっている。

人材マネジメントの“背骨”である「人材像」が揺らいでいるこの状況に対して、明確な軸の設定による普遍的体系を打ち出すことで、こうした状況を打破する第一歩となることを願い、私共では今後を見据えた「新しいマネジャー人材像」を構築し、情報発信を行っている。当人材像は、人材マネジメントの第一人者である一橋大学大学院の守島基博教授の監修のもと、大手製造業数社からのインプットにより試案を作成し、その後、大手製造業を中心とした12社にWebアンケートにご協力いただき、その検証結果を基に最終案としてまとめたものである。

戦略的方向性を示す「拡大(成長)⇔集中(利益)」、「組織全体最適⇔個々の才能の活用」の軸により、「キーマン調整」、「方針決断」、「部下タレント活用」、「特定テーマ開拓」の4つの要素が見出され、人材像を規定する 「人間軸」と「プロセス軸」が導出された。上記4つの要素ごとに行動項目を4つずつ配置し、「新しいマネジャー人材像」は計16項目から構成している。用途は様々あるが、当人材像に基づきマネジャー各人のアセスメントをおこなうことで、各々の特徴を把握することができるとともに、育成の方向性が鮮明になる。また、自社の各部門にはどのようなタイプのマネジャーがどれくらいいるのか、またそれは事業特性とマッチしているのか等を把握、検証することが可能となる。

次回は、管理職が機能しやすい環境づくりのためHOWについて述べることとしたい。(つづく)

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プロフィール

元マーサージャパン株式会社 代表取締役副社長。マーサー社ではコンピテンシーに基づく人材の評価、選抜、育成および組織開発に関わるプロジェクト、日系企業海外現地法人の現地化推進等のコンサルティングのほか、コンサルティングノウハウのITプロダクト化、提携戦略等による新規事業開発に従事。現在は、継続性と実効性を確保できるマネジメント手法の開発および普及に力を注ぐ。著書に、『会社人生は評判で決まる』(日本経済新聞社)、『コンピテンシー活用の実際』(日本経済新聞社)、『チームを活性化し人材を育てる360度フィードバック』(共著、日本経済新聞社)、『図解戦略人材マネジメント』(共著、東洋経済新報社)ほか。日本人材マネジメント協会(JSHRM)幹事等を歴任。

写真:南雲 道朋(なぐも・みちとも)
株式会社HRアドバンテージ代表取締役社長
相原 孝夫(あいはら・たかお)

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