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  4. 【コラム】第26回 「社内世論」というもの(1/3)
コラム

「社内世論」というもの(1/2)

選挙戦がスタートし、8月30日の総選挙へ向けて各政党ともしのぎを削っているが、選挙においては、いかに自陣に有利な世論を形成するかが極めて重要である。「風が吹く」という言い方がよくなされるが、各政党ともあらゆる手を尽くして、自陣に風を吹かせようと必死である。世論は主としてマスコミがつくると言ってもいいくらいマスコミの影響力は大きいが、最近ではインターネットも無視できない媒体となっている。

米国での大統領選でその重要性を再認識したのか、各党ともインターネットを介しての情報発信に熱心である。公示日前日の昨日までは、Yahooで「選挙」や「総選挙」と検索すると、自民党がスポンサーサイトとして一番上に表示されていた。You tubeを開いてみても、自民党の大きなバナー広告が打たれていた。公職選挙法で選挙におけるインターネットの活用を制限しているのとやや矛盾する印象も受けるが過渡期とはこういうものであろうか。

選挙における世論形成ということで記憶に新しいものといえば、小泉元首相により先導された「郵政解散」による総選挙であろう。「郵政解散」という呼び名は実は選挙後に付けられたものだそうで、選挙前は自民党が分裂選挙で大敗するとの予想から「やけっぱち解散」や「自爆テロ解散」などと報道されていた。それが、小泉氏の戦略により当初の予想に反して自民党が大勝をおさめたことで、選挙後は「郵政解散」という言葉が定着した。

2005年8月、衆院解散後の記者会見で小泉元首相は、「今回の解散は『郵政解散』だ。(郵政民営化に)賛成してくれるのか反対するのか、はっきり国民に問いたい」と述べた。争点を一点に絞ったうえで二者択一を国民に迫ったのだ。本来は、社会保障、税制改革、外交、安全保障など、重要な争点はたくさんあった。しかし、解散総選挙に臨むにあたっての戦略として、「郵政民営化」一点に絞る誘導をおこなった。その結果、わずかな世論の変化が大きな議席数変動を促す小選挙区制の特徴もあり、自民党の歴史的大勝を招いた。

「郵政選挙」については、報道したのはもちろんマスコミであるが、マスコミの論調や世論調査の結果が世論に影響を与えたというよりは、小泉氏自身が世論操作ともいえる世論の形成をおこなったといえるであろう。もっとも、その後の「刺客」騒ぎはマスコミが煽った面が強く、国民の関心は一挙に自民党内の抗争に向かってしまった。いったんそういう流れができてしまえば、他党がいかに真っ当に政策を訴えたとしても、もはや聞き入れられはせず、投票行動に影響を与えるには至らない。

これはやや特殊な例であるが、より一般には世論調査等の報道による「アナウンス効果」というものが、投票行動に影響を与えるといわれている。その一つに、ある選択が多数に受け入れられている、流行しているという情報が流れることで、その選択への支持が一層強くなる「バンドワゴン効果」というものがある。優勢と伝えられた政党や候補者に雪崩を打って投票しようとする、勝ち馬に乗ろうとする傾向といえる。誰しも、せっかく投票をする以上、自分の投票が死票となるのは気持ちのよいものではない。

しかし、これは特定の候補者を支持していない場合に起こりやすい効果であり、特定の候補者を支持している場合には、逆の効果が発生する傾向にある。不利な状況が知らされると、その候補者を落選させまいと、さらに支持を強める「アンダードッグ効果」というものである。判官びいき的行動といえる。この「バンドワゴン効果」と「アンダードッグ効果」を総称して「アナウンス効果」と呼ばれている。これらの効果は、企業や団体、学校など、より小さな集団においてはより強く発生しうる。(つづく)

 

プロフィール

元マーサージャパン株式会社 代表取締役副社長。マーサー社ではコンピテンシーに基づく人材の評価、選抜、育成および組織開発に関わるプロジェクト、日系企業海外現地法人の現地化推進等のコンサルティングのほか、コンサルティングノウハウのITプロダクト化、提携戦略等による新規事業開発に従事。現在は、継続性と実効性を確保できるマネジメント手法の開発および普及に力を注ぐ。著書に、『会社人生は評判で決まる』(日本経済新聞社)、『コンピテンシー活用の実際』(日本経済新聞社)、『チームを活性化し人材を育てる360度フィードバック』(共著、日本経済新聞社)、『図解戦略人材マネジメント』(共著、東洋経済新報社)ほか。日本人材マネジメント協会(JSHRM)幹事等を歴任。

写真:南雲 道朋(なぐも・みちとも)
株式会社HRアドバンテージ代表取締役社長
相原 孝夫(あいはら・たかお)

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