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  4. 【コラム】第16回 突破できなかった「二つの壁」(2/2)
コラム

突破できなかった「二つの壁」(2/2)

前回に続き、人事・組織マネジメント上のあらゆる取り組みに対して立ちはだかる、「二つの壁」の二つ目です。二つ目の壁は「継続性の壁」です。

そもそも、人や組織という対象は長期性の高い対象であるがゆえ、短期的な手立ては奏功しないという特徴を持っています。人材を育成しよう、組織に好循環を起こそうとするような場合、何らか短期的な手段でそれが実現されるということはまずあり得ません。一方、施策を打つ側からすると長期的な施策というのは運用が難しく、どうしても短期的な施策に走りがちです。ここが人事・組織マネジメント上の難しさであり、なかなか効果に結びつかない根本にあるのです。

人が変わり、組織が変わるには、必ず一定の継続性が必要です。「評価の納得性を高める」ということについて考えてみましょう。評価の納得性というのは、人材マネジメント上の一つの核ですので、ここを高められるかどうかはたいへん大きな問題です。この場合の典型的な過ちは、打ち手が評価者研修や、フィードバック研修などに終始してしまうことです。少しでも正しい評価をおこなううえで、そしてしっかりとしたフィードバックをおこなううえで重要ではありますが、それだけで評価の納得性が高まるということはありません。

仮に一年を通して部下の仕事のレビューやアドバイスをろくにせずに、仕事の状況すら十分に把握していないという状況である場合には、正しい評価はできないでしょうし、フィードバックだけ一生懸命やっても決して納得感は得られないでしょう。一方、一年を通してしっかりしたレビュー、アドバイスをし、成果達成へ向けての支援、サポートをしてきている場合には、評価やフィードバック以前に評価への納得感は確保されていることになります。そもそも評価というのは完璧というものはなく、たいていは誰もが自己評価の方が高いので、上司による評価には何かしら不満な点はあるものです。しかし、上司は自分のことを十分に理解してくれているという思いがあれば、それで納得感は得られます。その納得感をつくるのは日々の対話であり、一年間併走してくれたという思いなのです。逆に、いくら精緻な評価をおこない、テクニック的に優れたフィードバックをおこなったとしても、そうした思いがない場合には納得感が得られることはありません。

納得感というのはごく個人の内面的なものですから、そこに働きかけるものがなければ納得感は得られるものではありません。評価やフィードバックなど、一時点でのイベントに頼ろうとするアプローチを私どもは「イベントアプローチ」と呼んでおり、一方、そこに至るまでのプロセスを重んじるアプローチを「プロセスアプローチ」と呼んでいます。先にも述べたとおり、人や組織という対象は長期性の高い対象ですので、「イベントアプローチ」のみでは失敗に終わる結果となります。現状、至るところで見られる「イベントアプローチ」を、「プロセスアプローチ」へ置き換えていくことや、少なくとも「プロセスアプローチ」も組み合わせて実施いくことが、施策の一つひとつを確実に効果に結び付けるうえでは不可欠です。

「プロセスアプローチ」とはつまりは日常のことであり、日々の活動を正常化させていくということにほかなりません。評価ということでいえば、期初に目標を立てたらその達成へ向けて、上司と部下とで協力し合いながら推進していくということが正常な状態です。しかし、上司にマネジャーとしての基本行動が身に付いていないような場合には、日常的なレビューやサポートがおこなわれないまま放置されることもあり、そのようなケースでは、評価の時期になってあたふたしても決して納得感が得られることはありません。短期的な施策でどうこうできるという、うまい方法というものは当然なく、マネジャーとしての基本行動を習慣化し、それらの行動をルーティン化する以外に道はないのです。

プロフィール

元マーサージャパン株式会社 代表取締役副社長。マーサー社ではコンピテンシーに基づく人材の評価、選抜、育成および組織開発に関わるプロジェクト、日系企業海外現地法人の現地化推進等のコンサルティングのほか、コンサルティングノウハウのITプロダクト化、提携戦略等による新規事業開発に従事。現在は、継続性と実効性を確保できるマネジメント手法の開発および普及に力を注ぐ。著書に、『会社人生は評判で決まる』(日本経済新聞社)、『コンピテンシー活用の実際』(日本経済新聞社)、『チームを活性化し人材を育てる360度フィードバック』(共著、日本経済新聞社)、『図解戦略人材マネジメント』(共著、東洋経済新報社)ほか。日本人材マネジメント協会(JSHRM)幹事等を歴任。

写真:南雲 道朋(なぐも・みちとも)
株式会社HRアドバンテージ代表取締役社長
相原 孝夫(あいはら・たかお)

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