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コラム

〈番外編〉 ゴルフのハンディキャップ制に思う

これまで7回に渡ってある程度堅い内容のことを書いてきたので、書いている方もやや頭が四角くなってきた感があり、このあたりでいったんコーヒーブレークをはさみたいと思う。弊社のHPコンテンツの中では、どうやらスタッフブログが一番アクセス数が多いらしいので、私も見習って多少ブログ風に柔らかい内容のことを書いてみた。

最近またゴルフを始めてみようかと思っている。断っておくが、私はゴルフが相当に下手である。前職でのシンガポール赴任時代などに結構やってはいたものの、一向にうまくならないので、自分にはこのスポーツは向かいとへそを曲げ、いったんやめたのだ。子供の頃から野球をやっていたこともあり、たくさん打ってたくさん点を取った方が勝ちというのがスポーツというものであって、たくさん打ったら負けなんていう減点主義なスポーツはスポーツとはいえない、なんて言ってみたりするわけである。

それがなぜまたやる気になったのかといえば、単にここ最近、ゴルフ好きの友人などから誘われることが続いたからだ。なぜかこの2週間のうちに3人から誘われ、そして挙句の果ては、私よりも10ほどスコアがいい妻にも誘われる始末。それで皆口々に言うのが、「下手は下手でいいから」ということだ。こう言われて今さらカチンとはこないが、この「下手は下手でいいから」という言葉が、ゴルフというスポーツの特徴を実によく表わしていることに妙に感心したのである。「ハンディキャップ制」のことである。

この「ハンディキャップ制」というのは、技量差のある者同士の均等をはかるために、強者につける不利な条件のこと。これにより、「下手は下手なままで」、双方ともに楽しめるというわけだ。この制度は他のスポーツではあり得ないに違いない。100m走でいえば、スタート地点があらかじめ違っているようなものだ。ゴルフを始めた当初はどうもこの制度に心理的に馴染めなかったが、しかし実際にやってみると、ゴルフ暦40年なんていう人には到底敵うわけがなく、ハンディがなかったらちょっとやってられないということに気づく。

そして、競技時間が長いということもあり、いったん始めるとハンディに助けられながらも、なんとか勝とうとするわけである。ハンディシングルなどのゴルフのうまい人たちも、なんとかハンディを乗り越えて優勝すべく最後まで最善を尽くすことになる。もちろん、ベスグロというものもあり、ハンディを取り去ったグロースでベストスコアだった者も表彰されはする。しかし、優勝者はあくまでもハンディを勘案したうえでのスコアが最も良かった者になる。

話は急に堅くなるが、企業における業績達成のプロセスを考えてみる。営業会社などでは、個人業績がグラフで貼り出されている光景はよく目にするが、だいたい高業績者はいつも同じで、常連化している。一方、低業績者も固定化する傾向にあり、半ばやる気をなくしている状況も多い。こうした状況でそのまま競っても結果は見えており、高業績者は比較的余裕で職務を遂行し、一方の低業績者は早々にあきらめたりもする。こうした状態を続けて、果たして組織全体としての業績は向上していくものかどうか、また、成果志向性の高い組織風土ができていくものかどうか。

そこで、ゴルフのハンディキャップ制を援用できないだろうかと考えてみる。単にそれぞれが挙げた業績に応じた報酬を与えるのではなく、技量(その段階での業績達成能力)によりハンディを設け、釣り合いの取れた競争を演出するのである。高業績者は報酬のベースを高くしておくなどし、ただし、ハンディを勘案したうえでの業績が最も高かった者が、最も高い業績賞与率などを獲得できるような仕組みにするのである。

こうすることで何がよいかといえば、ゴルフの場合と同じように、高業績者もハンディを克服しながらも優勝できるよう(業績トップになれるよう)、最後まで手を抜かず最善を尽くすであろう。そして、低業績者も早々にあきらめるようなことなく最後まで競争に参戦し、ハンディがありながらも上位に食い込むことができれば、それはそれで成功体験となり、自信がつき、それがきっかけとなって業績が上がるようになる可能性もあるのではないか。成功体験は、業績を好転させるうえで極めて重要性の高い要素であることは間違いない。

私もかつて仲間内のゴルフコンペで、20いくつもの大量のハンディをもらいながらも優勝をしたことが一度だけあり、皆が祝ってくれたり、トロフィーをもらえたりするので、それ相応の達成感があり、ゴルフが好きになりかけたことがある。ただ私の場合、それ以降の努力が足らず、高業績者の仲間入りとはならなかったのだが。

プロフィール

元マーサージャパン株式会社 代表取締役副社長。マーサー社ではコンピテンシーに基づく人材の評価、選抜、育成および組織開発に関わるプロジェクト、日系企業海外現地法人の現地化推進等のコンサルティングのほか、コンサルティングノウハウのITプロダクト化、提携戦略等による新規事業開発に従事。現在は、継続性と実効性を確保できるマネジメント手法の開発および普及に力を注ぐ。著書に、『会社人生は評判で決まる』(日本経済新聞社)、『コンピテンシー活用の実際』(日本経済新聞社)、『チームを活性化し人材を育てる360度フィードバック』(共著、日本経済新聞社)、『図解戦略人材マネジメント』(共著、東洋経済新報社)ほか。日本人材マネジメント協会(JSHRM)幹事等を歴任。

写真:南雲 道朋(なぐも・みちとも)
株式会社HRアドバンテージ代表取締役社長
相原 孝夫(あいはら・たかお)

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