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「競争か平等か」の前に「自分達の競争のルールはそもそも何か」を見直す

■競争か平等かの前に

企業人事の中心的な論点は常に、「競争」と「結果平等」(=年功序列)とのバランスをどのようにとるか、ということでした。その論点は、いかに個人の力を引き出しながら、組織の分断を防ぐか、ということであるとも言い換えられます。あるいは、いかに短期的なモチベーションを高めながら、長期的な(数十年にもわたる)勤続意欲をも維持するか、ということであるとも言い換えられます。

実は、企業人事だけでなく、社会の中心的な論点も常にそうであったと言えるかもしれません。競争重視か平等重視か、ということは、それくらい重要な、論点中の論点、と言うべきものですが、しかし、競争重視か平等重視か、あるいは、競争と平等のバランスをどうとるか、という論点よりも、そもそもどのような競争をしているのか、競争のルールはどのようなものなのか、ということの方が先に論じられるべき、そしてはるかに実りの多い論点であるように思われます。

■社員間レースはマラソンか短距離競争の集積か

10月に出たリクルートワークス研究所の大久保幸夫氏と石原直子氏による、『女性が活躍する会社』(日経文庫)というコンパクトかつ刺激的な本の中で石原氏は、男性が女性に比べて有利になる企業内の競争ルールを解き明かしながら、いくつか有益な比喩を上げていますが、特に、新入社員が管理職になるまでの15年前後の社員間競争が、「15年間続くフルマラソン(途中で歩いたら即脱落)」なのか、「2年ごとに異なる試合会場で行われる短距離競争」の集積なのか、という比喩は有効であると思われます。フルマラソンとして人事制度を設計するならば、女性が出産・育児をこなす時期を想定した時、参加は事実上不可能になってしまいかねませんが、短距離競争の集積として設計するならば、決定的なハンディになることなく参加できるわけです。

女性だけでなく、学問に打ち込んだ人、放浪の時期を経た人、あるいは様々な職業を経験した人など、様々な特徴を持つ人にとって、「2年毎のモジュール組み合わせ型」のキャリアパスは、企業社会でやっていく上での福音になることでありましょう。そして、企業としても、そのようなキャリアパスの上に、ダイバーシティを進めることができることでしょう。

■いくつの種目を用意するか

さらに、「短距離競争」として、様々な種目を用意することで、社員の潜在能力が活かされる可能性は広がることは明白です。つまり、ダイバーシティを進めるためには、ダイバーシティそのものよりも、前提となる競争ルールを見直すことが鍵であるということです。

●自社にはいくつのゲーム(ルール)があるのか(=職種や職群の定義)
●社員一人一人はどのゲームに参加するのか(=誰の意思でどこに配属されるのか)、別のゲームに移る機会(異動機会)はどのように与えられるのか
●ルールは誰が決めるのか、全社員共通の根本ルール(憲法)、そしてルールを決めるためのルール(メタルール)は何か

■もう失望は生まない

優秀人材の採用、中高年の処遇、コア人材の育成等、人事の課題は尽きませんが、まず自分達の組織のルールを、明文化されているもの/されていないもの含めて明るみに出し、振り返ることがますます重要であると感じる昨今です。

誰にも身に覚えがあるように、自分の出身母体の価値基準、自分の想い・・・を組織のルールとして想定し、実はそれとは異なるルールで評価されているのにそれに気付かず、あるいは無意識のうちにそのことを拒否し、そして失望することは、なお多いのです。むしろ、私達の周りは、なおそのようなことばかりであるように思われます。そのような状態をなくすことから変革は始まります。



プロフィール

写真:南雲 道朋(なぐも・みちとも)
株式会社HRアドバンテージ取締役
南雲 道朋(なぐも・みちとも)

株式会社HRアドバンテージ取締役。富士通でシステム開発企画、マーサージャパン等の外資系コンサルティング会社で業務改革/マネジメント改革/組織改革/人材開発を横断するプロジェクトの企画・推進を行ってきた。分野を横断するシステム思考の実践を基本姿勢とし、近年は人と組織のデータ活用の仕事に注力している。著書に、『多元的ネットワーク社会の組織と人事』(ファーストプレス)、『チームを活性化し人材を育てる360度フィードバック』(共著、日本経済新聞社)、『図解戦略人材マネジメント』、『実践Q&A戦略人材マネジメント』(以上共著、東洋経済新報社)がある。

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