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最新人材マネジメント情報

中高年社員が育成役割を担う様々なパターン

中高年社員への期待は「後進の育成」に集約される

中高年社員のキャリアの問題は現在、2つの波として押し寄せています。
1) 40代の半ばを過ぎつつある、バブル期大量入社社員
2) 定年延長・再雇用に伴い職場に再参入した、シニア社員

バブル期大量入社社員と、シニア社員とでは、ライフステージが異なるため、配慮しなければならない事情が異なったりはしますが、問題の本質は同じです。すなわち、管理職ポストや公式のリーダーポストが用意できない状況において、いかなる役割を果たしていただけば、組織に対して価値を生んでいただくとともに、本人にとってもモチベーションを高く保っていただくことができるか、ということです。既に20年、30年とキャリアを積まれた方に、そのキャリアを活かしてリーダーとしてのポジションについていただくのでなければ、他にどのような役割を果たしていただくか・・・

この答えは、おそらく「後進の育成」ということに集約されます。もしかしたら「育成」という言葉では狭すぎる場合があるかもしれませんが、いずれにしても、「後進に影響を与えて後進の成長を促進する」、そのような役割です。

もちろん、単に一プレイヤーとして活躍を続けていただく、という選択肢もありえますが、経験を積んでいきながら後進への影響力は変わらない、ということは、本人にとってもマンネリ感が増し続けることであり、それはある側面からは後退とも言え、そのような状態をあるべき姿の一つとして想定すべきではないでしょう。


「後進の育成」を期待するだけでは何が足りなかったのか

もっとも、中高年の社員に対して、「これからは後進の育成を期待します」とは、数十年来言われ続けてきたことは確かです。今日一日の間にも、日本国内のあちこちで述べ1万回くらいは言われているのではないでしょうか。しかしそれが、中高年活用課題の十分な解決策になっていなかったとしたら、何かが足りなかったのです。

育成の役割を期待しても次のようなことになってしまうことは、良く見られることです。「いいおじいちゃんと悪いおじいちゃん」という言い方を耳にしたことがありますが(便利な言い方です!)、「いいおじいちゃん」になっていただくことは、なかなか難しいのです。

●時代遅れとなった知識や、今となっては正しくないやり方を指導してしまう。
●自分が通らなければならなかった通過儀礼を部下達も経るべきだと主張し、ハラスメントに励むことになってしまう。
●組織やキャリアに対する自分自身の幻滅を後進にぶつけ、部下達をも将来に関して悲観的な気持ちにさせてしまう。

問題は、一言で育成の役割といっても多様な役割があるにも関わらず、育成のためにどのような役割を果たしていただくのか、突き詰めて考えられていなかったことにあります。単に育成の役割を期待されるだけでは、本人も何をしたらよいのか、周囲の人も何を期待したらよいのかわかりません。


育成役割の多様性を整理し、人に合わせて配分する

一言で育成といっても、エネルギーを注ぐ対象や姿勢に関して、異なる方向性があります。そしてそれらの方向性に対して、人それぞれ向き不向きがあります。そこで役割タイプ分類の王道に立ち返り、次のような視点で考えると、育成の役割の多様性を適切に整理することができます。

●「知識・スキル」に影響を与えるのか、「人間」に影響を与えるのか
●「攻め」を指南するのか、「守り」を指南するのか

すなわち、育成の役割は、次の4つの役割に整理することができます。

●「教師」になる。つまり、社内の知識を整理、体系化して、後進に伝えていく。そのためには、端的に研修部門に異動していただくことがベスト。
●「ロールモデル」になる。つまり、現在のままスペシャリストとして活動を続けていただくが、あらゆる意味から非の打ちどころのない規範となっていただく。そのためには、仕事の内容を客観化、数値化、標準化するところまでやっていただくことがベスト。
●「後見人」になる。つまり極めて高い潜在能力を持つものの組織の中での身の処し方にはまだ通じていない若手の後見人となり、豊富な組織経験や社内人脈を使って、彼/彼女を守り育てる。そのためには、メンターとなって、後見対象になる人と、正式にそのような関係を築いていただくことがベスト。
●「育成マネージャー」になる。すなわち、チームメンバー一人ひとりの特徴や強み弱みを把握し、日々のコミュニケーションの中でしっかりコーチングし、一人ひとりを伸ばしてゆくマネージャーになる。そのためには、正式にマネージャーや部門人事担当者のポジションを得ることがベスト。

以上の4つの役割を効果的に果たすためには、それぞれ別の対象に向けてエネルギーを注ぎ、自己研鑽をしなければならないことがわかります。

しかも、本人がそのような自覚を持つだけでなく、組織としてもはっきりとした役割やミッションを与え、周囲の人にそれがわかるようにする必要があることもわかります。

中高年社員に育成の役割を担ってもらうという時、以上のような方向づけを、しっかりと行う必要があります。中高年社員の評価、アセスメント、キャリア研修等も、この方向づけがしっかりとできるものである必要があります。



プロフィール

写真:南雲 道朋(なぐも・みちとも)
株式会社HRアドバンテージ取締役
南雲 道朋(なぐも・みちとも)

株式会社HRアドバンテージ取締役。富士通でシステム開発企画、マーサージャパン等の外資系コンサルティング会社で業務改革/マネジメント改革/組織改革/人材開発を横断するプロジェクトの企画・推進を行ってきた。分野を横断するシステム思考の実践を基本姿勢とし、近年は人と組織のデータ活用の仕事に注力している。著書に、『多元的ネットワーク社会の組織と人事』(ファーストプレス)、『チームを活性化し人材を育てる360度フィードバック』(共著、日本経済新聞社)、『図解戦略人材マネジメント』、『実践Q&A戦略人材マネジメント』(以上共著、東洋経済新報社)がある。

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