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最新人材マネジメント情報

ビッグデータ時代の働き方のヒント

成果主義は組織の未来を見据えていなかった

成果主義が「ちょっと違うね」と思われるようになった理由の一つに、それがそれまで積み重ねられてきた日本的な組織運営の慣習と馴染まず、組織の秩序維持が難しかった、ということがあったことは確かです。(もっとも、そのような文脈におけるかなりの問題は人事運用から年齢や年次を消去することで解決すると思われますが・・・)

もう一つ、もっと積極的な理由として、要は「成果主義は未来を見据えていなかった」ということがあったと思います。すなわち、成果主義は、ITを通じて組織がどう変わるか、ということを見据えていなかったのです。ITの進化によって組織の境界線が消滅し、「ボス猿」的に業績を上げられる領域が急速に縮小していく状況にあって、成果に基づく報酬という考えは馴染まなかった、ということです。

早い話、何か資料を作成する際、我々は、ウェブでガーッと検索して「コピペ」して、もとい「衆知を集めて」資料を作成しますが、組織で外部に何か提案する場合も同じです。事前にウェブで調べ尽くして待っている顧客に提案するには、組織の中で連携して、組織の中にあるウェブには載っていない情報を調べ尽くしてかからなければなりません。


ビッグデータは企業戦略の考えを根本から変える

組織の境界が低くなったことで、企業戦略の考え方が根本から変わった、と、TEDトークにて企業戦略論の本家ボストンコンサルティングのPhilip Evans氏が述べています。(http://www.ted.com/talks/philip_evans_how_data_will_transform_business

もともと企業戦略というのは、いかに「強みを囲い込む」ということが出発点でした。戦略論の起源である「経験曲線」、マイケル・ポーターが提唱した「価値連鎖」の構築・・・。しかし、ITによって情報の「取引コスト」が劇的に下がった結果、外部の頭脳、そして衆知をいくらでも安価に用いることができるようになり、しかも、それらを活用することで知識の質も高まることが明らかになりました。典型的なものとして、次が挙げられます。

●ウィキノミクス・・・衆知が特定の専門家に勝てることが明らかになった。
●オープン・イノベーション・・・自組織のラボに頼るよりも、公募する方が、はるかに問題解決は進むことが明らかになった。

STAP論文事件は、そのような状況を衆目の中に顕にした事件であったとも言えるでしょう。所属組織による調査などよりもはるかに早く、ネットの中で沢山の無名の人々によって、論文が徹底的に吟味され尽くし、事実があからさまにされてゆきました。そして様々な立場の人からその意味について多角的に解説が加えられました。いったん外部に情報が出た以上は、組織の境界などほとんど意味がなくなってしまう、ということを思い知らされる事件でもありました。

先のPhilip Evans氏は、これからビッグデータ時代に入るとともに、この方向性は決定的になるだろう、と指摘しています。これまで連携されてきた情報は、所詮は、論文データベースやSNSやGoogleといった場に対して、人が意図的にキーボードを使って打ち込んだ情報だけにすぎませんでした。しかし、ビッグデータ時代には、「携帯のセンサー」「自動車のセンサー」「身につけられたセンサー」「公共空間のセンサー」「医療機器」「家電」等、自動的に毎秒送られてくるデータが組み合わさり、さらにはおそらく将来的には「遺伝子データベース」等も組み合わされて、「一人ひとりに合った医療やトレーニングのメニュー」「エネルギー使用の調整」等に向かうことになり、そのデータが存在する空間は、「個人」や「会社」や「国家」や「GoogleやAmazonのようなプラットフォーム会社」をも超えていきます・・・


ビッグデータ時代の働き方はまずつないでいくこと

では、そのような時代に向けて、人の働き方はどのように変わっていくのでしょうか?「ボス猿」「囲い込み」の姿勢が残っているとしたらそれを解くとともに、新しい状況に積極的に対応するために、どのような姿勢・行動の取り方が必要になるでしょうか?

「とことんつないでいく」ということが基本になることは確かでしょう。つなぐことができる人から価値が生まれる。そしてそれを編集できる人から価値が生まれる。情報と情報がつながる場を作ることができる人からはもっと価値が生まれる・・・

例えば、人事に携わる人であれば、採用情報、人事情報、育成情報、業績情報、意識調査等の情報、健康管理情報、そして「人を知っている人」の情報・・・をつないでいくことができるかどうかが価値を創造できる人事パーソンになれるかどうかの鍵となります。単につなぐだけでなく、つながる場やつなげる仕組み、そしてつながったものを使って人事の精度を高める仕組みを作れる人は、さらに高い価値を創造できることになるでしょう。(弊社もそれを目指しています。)


プロフィール

写真:南雲 道朋(なぐも・みちとも)
株式会社HRアドバンテージ取締役
南雲 道朋(なぐも・みちとも)

株式会社HRアドバンテージ取締役。富士通でシステム開発企画、マーサージャパン等の外資系コンサルティング会社で業務改革/マネジメント改革/組織改革/人材開発を横断するプロジェクトの企画・推進を行ってきた。分野を横断するシステム思考の実践を基本姿勢とし、近年は人と組織のデータ活用の仕事に注力している。著書に、『多元的ネットワーク社会の組織と人事』(ファーストプレス)、『チームを活性化し人材を育てる360度フィードバック』(共著、日本経済新聞社)、『図解戦略人材マネジメント』、『実践Q&A戦略人材マネジメント』(以上共著、東洋経済新報社)がある。

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