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モチベーションの問題とは人生の目標設定の問題

弊社ではモチベーションの研修をご提供しています。「人材マネジメントにサイエンス」を標榜するHRアドバンテージらしからぬ、と意外に思われる方も多いかもしれません・・・案の定それは、勢い良く講師が登場して、ビシビシエネルギーを発散して、元気を分け与える、といったものではありません。自分自身や部下達一人一人にとっての、あるべき「自己像」、そしてその自己像を実現するプロセスの現状を、データで「見える化」して、それを元に、粛々と話し合う、といったものとなっています。


モチベーションは本来問題になるべきでない

弊社の相原が、『仕事ができる人はなぜモチベーションにこだわらないのか』 (幻冬舎新書)で論じているように、高い業績を上げる人は、ほとんどの場合、モチベーションに拘わりません。プロと呼ばれる人、たとえばトップアスリートや匠を思い浮かべても、彼らの課題が「やる気」や「モチベーション」でないことは明らかです。プロであれば、自分のモチベーションが高かろうが低かろうが、その時にやるべきことを粛々とやるものだからです。モチベーションを問題にすることは「甘えた話」になってしまいます。そして、モチベーションを高めよう、というメッセージは、「プロ」であろう、というメッセージとは矛盾してしまいます。

もちろん当然、誰にでも物事がうまくいかない時や、体調や気分が優れない時はあります。そのような時に対処の仕方を知っていて、自分の状態に応じてやるべきことを瞬時に判断できるようにすること、すなわちモチベーションが問題にならないようにすることが、モチベーションの本当の問題だということになります。

早い話、目標管理で言われているように、正しくSMART(Specific,Measureable,Attainable,Realistic,Time-bound)な目標を立てて、それを日単位のスケジュールに落とし込んでいれば、モチベーションはほとんど問題になりません。日単位、というのがポイントです。毎日、何が進んでいて、何が遅れており、明日に迫っていることは何か、ということが突きつけられるようになっていれば、朝職場に来たら、粛々とそのことを実行するしかないからです。


成果を期待以上に上振れさせるためのモチベーション

粛々と仕事をせよ・・・しかし、それだけで終わらないところが、モチベーションをやはり問わなければならない人間の深さです。人間の仕事は機械やコンピュータの仕事とは異なるからです。一つのことを行うにも、どれだけ突っ込んで、あるいは共感して、あるいは面白がって、考えるかによって、成果の大きさも、本人の成長の度合いも違ってきます。成果を想定外に上振れさせるために人にどう働きかけるか・・・そのことが、これからのモチベーションの問題であると言えるでしょう。

そしてそこで問題になるのは、人間のエネルギーの総量は決まっており、仕事にどれだけのエネルギーを費やすかは自由だということです。成果を想定外に上振れさせるため、あるいはこれまで想像もしなかった領域に踏み出すため、仕事に100%以上のエネルギーを注ぎ込むこと・・・すなわち「生活と人生が一体化している」状態が理想ということになるでしょう。そして、そのような状態が実現できる条件は人によって様々です。

●学生時代から専攻していた専門分野を極めたいと思っている人にとっては・・・会社の仕事が自分の専門と一致すること
●社会に役立っているという実感が最も大切と思っている人にとっては・・・会社の仕事こそが社会に役立つ最短の方法であること
●何か新しいことに挑戦していないと死んでしまうという人にとっては・・・ 会社の仕事こそが最も挑戦しがいのあるスリリングなものであること
●気のあった仲間と楽しく過ごせることが人生で最も大切と思っている人にとっては・・・会社の仲間こそが最も気のあった仲間であること
・・・

一人一人異なるこれらの条件が、それぞれの仕方で、会社において満たすことができるのならば、社員一人一人のエネルギーが会社に注ぎ込まれる状態は容易に達成されることでしょう。よって、一人一人にとってそのような条件は何であるか、ということを見極め、その条件と会社の目標とが合致するような具体的な目標と計画を立てて、日々なすべきことに落としこんでいくことこそが、モチベーション・マネジメントのテーマということになります。


モチベーションの問題は生涯キャリア開発の問題

それは「キャリア開発」と極めて似てきます。実際弊社では、モチベーション源泉、すなわち、自分がありたい自己像の分類整理の方法として、「キャリアアンカー」という概念を使っています。キャリアアンカーとは、エドガー・シャイン博士が提唱した、個人がキャリアを選択する際に、自分にとって最も大切で、どうしても犠牲にできないという価値観や欲求、動機、能力などを指しますが、そのような、個人にとって大切な価値観や欲求、動機、能力と、仕事の内容とが合致することは、モチベーションにとっても最も重要なことです。

そう考えると、仕事の目標を立てる上では、視野を仕事のみならず自分の人生にまで広げて、仕事と人生とを統合する目標と計画を立てることがモチベーション管理と言えるかもしれません。「自分は何者であるのか」「何を目指しているのか」「その自分が何故この仕事をしているのか」ということが明確であれば、あとは、モチベーションの問題というものは、タスクへの落とし込みの問題でしかありません。


職場のモチベーション源泉の重心の変化をとらえよう

現在、働く人のモチベーション源泉の重心が大きく変わっています。低成長の中で昇進しようにもポストがなく、博士号取得者の就職難が示すように専門性の力も失われ、職場コミュニティもかつてのような求心力を持ち得ず・・・かつてのモチベーション源泉は細っています。

一方、バブル入社世代の高年齢化や65歳までの継続雇用の義務付けによって職場の中心層が高齢化し、「守り」の姿勢が職場を支配する気配があります。また、女性の登用が進むとともに、「仕事と家庭とを両立させたい」という女性の想いはますます、職場の中の中心的な想いとなっています。これらモチベーションの問題は、生涯キャリア形成のテーマそのものです。40歳定年や人生二毛作といった話題も、その中では検討されるようになることでしょう。

このようなモチベーション状況の中で、世界で戦っていくに足るエネルギーを会社と仕事に注ぎ込んでいただく・・・これは困難な課題ではありますが、モチベーション源泉を丹念に見出し、そこから、モチベートのプロセスを踏んで丹念にモチベーションを高めていくしかないことは、昔も今も変わりません。

考えられるあらゆるモチベーション源泉から、モチベーションを引き出すプロセスに従って、モチベーションを引き出してゆかなければならない、というセオリーは変わりません。データを元に、メンバーのモチベーション源泉の分布、そして、プロセスの働き方をじっくりと一望し、チームのあり方を見直してゆきたいものです。



プロフィール

写真:南雲 道朋(なぐも・みちとも)
株式会社HRアドバンテージ取締役
南雲 道朋(なぐも・みちとも)

株式会社HRアドバンテージ取締役。富士通でシステム開発企画、マーサージャパン等の外資系コンサルティング会社で業務改革/マネジメント改革/組織改革/人材開発を横断するプロジェクトの企画・推進を行ってきた。分野を横断するシステム思考の実践を基本姿勢とし、近年は人と組織のデータ活用の仕事に注力している。著書に、『多元的ネットワーク社会の組織と人事』(ファーストプレス)、『チームを活性化し人材を育てる360度フィードバック』(共著、日本経済新聞社)、『図解戦略人材マネジメント』、『実践Q&A戦略人材マネジメント』(以上共著、東洋経済新報社)がある。

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