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最新人材マネジメント情報

キャリアを社員全員で育てる生き物 … 社員一人一人のビジネスモデル

キャリア開発の仕組みとは

最近、「社員のキャリア開発の仕組みづくり」についてご相談をいただく機会が多いのですが、そこで実際に何をすべきか、何から着手すべきか、ということになると、選択肢は実に多様です。

【異動ルール】 異動やローテーションのルールを決めたい。
【能力開発】 職種とスキルレベルを整理して、能力・スキル開発の方向性を示したい。
【研修】 自分の職業人生を自分で責任を持って設計できるようにするための「キャリア開発研修」を実施したい。
【職群】 異動や昇格の道筋、採用条件も異なる「職群」を作りたい。
・・・

会社としてキャリア開発の仕組みを作る目的は、究極的には、モチベーションとコストパフォーマンスの高い人的資源のポートフォリオ(職種・専門・技能水準・雇用形態等の組み合わせ)を実現すること、ということになるのですが、どの社員グループ向けにそのような仕組みを作るかということによって、用意すべきものが大きく異なってきます。

【中核人材向け】 リーダーを目指して、選抜・異動・ローテーションに備えさせる。
【新卒者向け】 能力開発に向けて、職種とスキルレベルの目標を示す。
【中高年層向け】 定年延長も背景に、第二の職場作りを含めた職業人生見直しに向けて、気づきの機会を与え、処遇の諸制度を示す。
そして・・・
【会社全体として】  多様な人材を管理するインフラとして、職群の枠組み、一人一人の適性把握の仕組みを作る。


何故キャリアの問題は複雑か

なぜキャリアの問題が複雑かというと、キャリア開発というのは、個人の視点からのものであるとともに、会社の視点からのものでもあって、個人の意思と会社の必要性とのマッチングが図られなければならないから、ということにほかなりません。しかも、今すぐ理想の状態が実現できるものではなく、年数をかけて徐々に、個人も会社もハッピーで、個人のポテンシャルが最大限に発揮されている状態へと誘導しなければなりません。

個人の視点と会社の視点のマッチングが必要、年数をかけて理想の状態に近づけることが必要・・・というのは、人事施策全般において言えることですが、例えば処遇の仕組みと比べても、キャリア開発においては個々人の多様性を想定しなければならず、また、個々人がその気にならなければ何も生まれない分、複雑さの度合いははるかに高くなりそうです。社員のキャリア開発ということは、社会形成そのもの、生態系の形成そのもの、組織づくりそのものであり、多様な社員が集まって、皆で一つの大きな生き物を育てるようなもの、と言えるかもしれません。

そうであるとすると、社員のキャリア開発ということに向けては、様々な施策、制度や研修やコミュニケーションを組み合わせて実施してゆかなければならないことになりますが、最も鍵となりそうなものは何でしょうか?何から着手すべきでしょうか?


社員のキャリアに育つ「種」

社員のキャリアは生き物であり、社会であり、生態系であるとすると、機械を設計して据え付けるようなわけにはゆきそうもありません。しかし一方、それを撒いておくと自然に育つ「種」のようなものがあるのではないでしょうか?そして、水や肥し・・・

社員のキャリア開発のために撒いておくべき種とは何でしょうか?自分の職業人生を自分で切り開けるようにするとともに、結果として個々人の志向性や努力がうまくバランスされて、会社としてはうまい人材ポートフォリオが出来上がる、そのための核になるようなもの・・・

【人材市場】 会社の中の「仕事とスキルと報酬」のカタログ化と公開?
【尺度と測定】 自らのスキルや基礎能力(コンピテンシー)の棚卸の仕組み?
【共通通貨】 会社のビジネスモデルと、社員全員に求められるコアスキル・コアコンピテンシーの共通理解?
【自立の基礎教育】 職業人生を含めた自らの人生設計の鍵となる、キャリア・アンカーの考え方の共通理解?

上に列挙したものは有力な候補ではありますが、それらを全部ひっくるめて一言で言うと、「社員一人一人のビジネスモデルづくり」ということだと思うのです。社員一人一人が、スキルも、コンピテンシーも、自分が得意とする活動も、そしてこれまでに築いた人間関係等の資産も全部活かして、どのようなユニークな価値を生み出せるか、ということを体系だてて整理する、ということです。そして、一人一人のビジネスモデルを、会社全体のビジネスモデルの中に嵌めるのです。全社員がそれをすれば、個人が完全に自立しつつ、会社としての役割分担が見えてくることになります。

【ステップ1】 全員で会社のビジネスモデルを理解する。
どのような活動やリソースをどう組み合わせて収益を生んでいるか?
【ステップ2】 自分自身のビジネスモデルを理解する。
誰に対して何をどういう仕方で提供することで価値を生んでいるか?
【ステップ3】 会社とビジネスモデルと自分自身のビジネスモデルを重ねあわせ、嵌めてみる。
・ 会社のビジネスモデルと自分のビジネスモデルのタイプが一致するか?一致すれば自分の強みを活かせる。例えば、顧客固有ニーズに合わせた商品開発が強みの会社で、自分の強みである顧客密着力を活かせる。
・ 会社のビジネスモデルの中のどこに自分のビジネスモデルを嵌めるか?ビジネスモデルのタイプが一致しなくても、会社のビジネスモデルのある部分にぴったりと嵌まるのならば、ユニークな活躍ができる。例えば、顧客固有ニーズに合わせた商品開発が強みの会社で、顧客に合わせて商品をすぐ作れるようにする共通プラットフォーム作りの場面で、自分の強みである汎用化能力を活かせる。


米国でのブーム

近年大変話題になった米国発の書籍に、ベンチャー起業を目指す若者向けに、ビジネスモデル構築の方法をわかりやすく伝えた、「ビジネスモデルジェネレーション」という書籍があります。そして興味深いことにその書籍は、そこで提案されたビジネスモデルのフレームワークを個人にそのまま適用して個人のビジネスモデルづくりを支援する、「ビジネスモデルYOU」という続編に続きました。そしてその書籍もブームとなっています。これからは起業も個人のキャリア開発も同じフレームワークで考えよう、というのです。

これをこのまま会社の中に持ってきて、皆で自分達の会社のビジネスモデルを考えるとともに、一人一人が自分自身のビジネスモデルを考え、組み合わせてみることで、どうしたら一人一人が最も価値貢献できるか、ということが明らかになり、メンバー間の役割分担も決まってくるとともに、キャリアパスも見えてくるでしょう。それこそが、キャリア開発の王道のイメージかもしれません。



プロフィール

写真:南雲 道朋(なぐも・みちとも)
株式会社HRアドバンテージ取締役
南雲 道朋(なぐも・みちとも)

株式会社HRアドバンテージ取締役。富士通でシステム開発企画、マーサージャパン等の外資系コンサルティング会社で業務改革/マネジメント改革/組織改革/人材開発を横断するプロジェクトの企画・推進を行ってきた。分野を横断するシステム思考の実践を基本姿勢とし、近年は人と組織のデータ活用の仕事に注力している。著書に、『多元的ネットワーク社会の組織と人事』(ファーストプレス)、『チームを活性化し人材を育てる360度フィードバック』(共著、日本経済新聞社)、『図解戦略人材マネジメント』、『実践Q&A戦略人材マネジメント』(以上共著、東洋経済新報社)がある。

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