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最新人材マネジメント情報

管理職の役割は切り出されコモディティ化するか

組織・人事の近年の大きな論点に、グローバル化・IT化が進む中で、あるべき役割分担/任務の配分のあり方が大きく変わっているということがあります。

特に顕著なのが、管理職における「リーダー」の役割と「マネージャー」の役割が分離しつつある、ということです。かつては、コミュニケーションの結節点を管理職が押さえていることによって、管理職には組織を引っ張るリーダーであるとともに組織を維持するマネージャーであることが期待されていたのですが、一人ひとりから見てコミュニケーション手段が全方位に開け、コミュニケーション経路がツリー構造である必然性がなくなるとともに、リーダーシップとマネジメントとを分離することが可能になり、「リーダーシップ」は希少化する一方、「マネジメント」はコモディティ化するようになった、と考えることができるでしょう。

すなわち、組織の外側に向いて組織を引っ張るリーダーシップは、その力量を持っているのならば発揮することができる手段が一人ひとりに与えられるようになったのですが、競争がグローバル化することでリーダーシップにはますます高いレベルが求められるようになり、その力量は管理職誰にでも求めることができるレベルを超えてしまいました。それは商品やサービスをグローバル展開する場合にとどまらず、例えば業務のオペレーションにおいても、そのコスト・スピード・品質が世界の最先端水準に達しているかどうかということが問われ、それを牽引することができる力量は並大抵のものではありません。

そして一方、組織の内側のコミュニケーションを駆使して組織を維持・運営する「マネジメント」の諸機能は、ある意味でコモディティ化しつつあると見ることもできます。例えば、チームメンバーのタスクの管理は、スケジューリングやプロジェクト管理のツールによって圧倒的に容易になっていますが、これはすなわち、マネジメントの機能がITに置き換わっていると見ることができます。そして、マネージャーの役割を一般職社員に積極的に担わせることで、より効果的に組織を維持・運営している事例が、日経ビジネス誌に載っていたのでご紹介します。

課題を管理する「トラッカー」
半導体製造装置大手のディスコでは、トラッカーという役職を置いている。それは、組織の課題や宿題を拾い集めては担当者に周知し、行動変化を促すことで、マネージャーの業務をサポートし、組織のパフォーマンスを向上させることが役割。部内の会議にも逐一参加しては議事録をまとめ、課題や宿題をまとめ、その遂行を担当者に徹底する。課題の遂行状況を見える化する仕組みなど、仕組み作りも行う。この役割に就くのは事務職で採用された女性がメイン。全社のトラッカーを集めたトラッカーミーティングにてノウハウが共有される。(2012.1.16号)

現場の不満を解決する「アドミンスタッフ」
ERPソフトウェア大手のワークスアプリケーションズでは、各チームに一人アドミンスタッフを置いており、その役割は一般事務のサポートもさることながら、現場での課題や社員の不満を洗い出して社長に報告すること。また、アドミンスタッフが集まる会議にかけて改善策を考えること。現場の信頼を得て従業員から相談を受けるようにもなっている。アドミンスタッフは一般職社員だが社長直轄。(2012.1.23号)

実は、マネジメント機能は、その一部を切り離して外出しすることで効果を高めることができるし、そしてそれは決して高度な専門性や技能を必要とするものではない、ということはコンサルティング業界の秘密でもあったのです。すなわち、表向きは専門知織や専門技能を求めてコンサルティング会社を使う場合であっても、その実際の付加価値は、プロジェクトのマネジメントを代行し、課題を拾い上げ、やるべきことが確実になされるように仕向けていくことから生まれている場合が多く、しかもその機能は、決して高度な専門性や技能を必要とするものではない、というのが、コンサルティング会社のメンバーが若くても機能した理由です。そのようなコンサルティング会社の機能が内製化され始めた、ということもできるでしょう。

ディスコやワークスアプリケーションが、マネジメント補佐の役割に一般職社員を充てているように、それは決して高度な専門性や技能を必要とするものではありません。しかし、誰がその役割を遂行するかによって、そのパフォーマンスは大きく異なり、資質の向き不向きがあります。すなわち、マネジメントの機能を分析し、役割を再整理するとともに、配置の基準やプロセスも見直す必要があります。

なお、管理職の役割見直しにあたっては、グローバル化・IT化といった外部環境変化への対応だけでなく、バブル期の大量採用世代が40代の管理職世代になっている中でどのように役割を配分し、処遇していくか、といった内部環境変化への対応も重要なのですが、外部環境変化対応をまず先に考え、その次にそれを与件として内部環境変化への対応を考えるべきでしょう。



プロフィール

写真:南雲 道朋(なぐも・みちとも)
株式会社HRアドバンテージ取締役
南雲 道朋(なぐも・みちとも)

株式会社HRアドバンテージ取締役。富士通でシステム開発企画、マーサージャパン等の外資系コンサルティング会社で業務改革/マネジメント改革/組織改革/人材開発を横断するプロジェクトの企画・推進を行ってきた。分野を横断するシステム思考の実践を基本姿勢とし、近年は人と組織のデータ活用の仕事に注力している。著書に、『多元的ネットワーク社会の組織と人事』(ファーストプレス)、『チームを活性化し人材を育てる360度フィードバック』(共著、日本経済新聞社)、『図解戦略人材マネジメント』、『実践Q&A戦略人材マネジメント』(以上共著、東洋経済新報社)がある。

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