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「すごい制度」はなぜすごいのか

日経ビジネスの2011年8月1日号にて、「元気が出る!すごい制度100」という特集が組まれ、厳しい経営環境の中でも好調な業績を維持している企業における、組織と社員の活性化に向けたユニークな制度が集められています。

紹介されている制度の中には、「やりすぎ」「逆張り」「前代未聞」と思われるような非オーソドックスな制度も多く、編集の方によれば、「極端な制度であっても、自社の切実なニーズに端を発した内発的な制度の方が効果ははるかに大きいのではないか」ということです。

「それら非オーソドックスな制度に共通する要素は何であり、今、なぜ非オーソドックス制度が効果的である可能性が高いのか」ということを考えなければなりません。自社の切実なニーズに端を発しているのならばなおのこと、単に真似て導入するのでは意味がない筈です。なぜ今それらの制度が効果を発揮するのか、その本質的な要素に遡って理解し、自社における必然として制度や施策を導入する必要があることになります。


そこで、各制度を睨んでみてわかったこと。結論を述べれば、「すごい制度」というのは、現状の問題解決のために必要になるエネルギーを極小化する一方、刷新と新しい価値の導出(=破壊と創造)に社員のエネルギーを向かわせる、そのような仕組みである、ということです。

そしてそれらの多くは、何らかの形で組織内コミュニケーションに関わるものとなっています。コミュニケーションの革新というとITの活用が鍵になりそうですが、ITに焦点を当てたものはほとんどないことにも注意する必要があります。ITによるツールはほとんどの場合モニターに文字や画像を映し出すものにすぎず、そこから進んで、定型・非定型の情報をいかに社員の体に感じさせるか、そしていかに体を動かさせるか、ということを狙っていると言えそうです。

例えば次のような具合です。紹介されている制度の一部を抜粋したものですが、何かしらこのような切り口から分類整理することができます。

過去のしがらみ意識は強制的に捨て去らせる!そのために・・・
●役員の一定割合の毎年入れ替えることで、事業と上下関係を強制的にシャッフル(サイバーエージェント)
●給料(賞与)はサイコロで決定することで、給与差へのこだわりをリセット(カヤック)
●全社員参加によるワールドカフェ方式でビジョンづくりをすることで、話し合う相手を強制的にシャッフル(東京海上日動システムズ)

ゼロからの価値創造に向けて体で感性を研ぎ澄まさせる!そのために・・・
●新入社員研修にて原野を開拓して小麦を育てさせることで、商品力の商品力の原点の麦の力の源泉に触れる(アンデルセン)
●新入社員研修にてお遍路巡りで障害者に同伴させることで、相手の視点に立った顧客サービスの原点に立つ(ネッツトヨタ南国)
●社員のエコな活動に対してエコポイントを付与することでエコタウンに向けてエコな事柄への感性を磨く(前田建設)

経営数字をリアルに身体で感じさせる!そのために・・・
●痛みを共有する内部コスト課金を通じて発生させたコストは全て自チームにかかるようにする(ディスコ) 
●内部留保せず社員預金でファイナンスするとともに全ての数字を公開することで、社員にとって経営を我が身のこととする(トゥーワン)

その場で懸案を全て解決して動き出させる!そのために・・・
●社長を中心とする毎週の怒涛の全社会議にて新商品開発を初めとする全ての意思決定をし、その日の午後から動き出す(アイリスオーヤマ)

以上を、例によって、組織機能・能力を整理する汎用マトリクスによって整理してみましょう。4つの象限のいずれにおいても、コミュニケーションを進化させることによって、エネルギーの重心を下から上へ、すなわち過去・現在から未来へとシフトさせるのがポイントである、と言えそうです。


さて、そしてその結果、人の能力や行動がどのように変化するのか、ということが問われなければなりません。制度がすごいこと自体が目的でなく、それによって社員の能力や行動がすごくなることが目的なのですから。

そのためには、制度を導入するだけでなく、行動を促し、測定し、評価する基準、すなわち採用や評価や昇進・昇格等のアセスメント基準を刷新し、社員へのメッセージが一貫したものになることがポイントになるでしょう。紹介されている会社においてもきっと、採用基準や評価基準や昇進・昇格基準が、制度に劣らずユニークなものになっている筈です。

4象限ごとに、例えば、次のような行動指標が対応してくるでしょう。

●過去のしがらみやプライドを捨てている。自慢も嫉妬もしない。
●自社の使命への深い共感に立脚して、人に気づきや感動を与えている。
●自らの存在と行動がどこにどう影響しているか現実的に理解し、自律的に行動している。
●今日できることを明日に先延ばしにすることなく、即決定、即実行している。

そこまで、確認できるところまでやりましょう!


プロフィール

写真:南雲 道朋(なぐも・みちとも)
株式会社HRアドバンテージ取締役
南雲 道朋(なぐも・みちとも)

株式会社HRアドバンテージ取締役。富士通でシステム開発企画、マーサージャパン等の外資系コンサルティング会社で業務改革/マネジメント改革/組織改革/人材開発を横断するプロジェクトの企画・推進を行ってきた。分野を横断するシステム思考の実践を基本姿勢とし、近年は人と組織のデータ活用の仕事に注力している。著書に、『多元的ネットワーク社会の組織と人事』(ファーストプレス)、『チームを活性化し人材を育てる360度フィードバック』(共著、日本経済新聞社)、『図解戦略人材マネジメント』、『実践Q&A戦略人材マネジメント』(以上共著、東洋経済新報社)がある。

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