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社員に提供すべきは「発展空間」

日経ビジネスの2011年7月25日号にて、コマツの坂根正弘会長が、興味深い発言をされています。

「中国市場でビジネスを拡大するには、中国の優秀な若者を採用して、戦力にしなければなりません。その際、注意すべき点があります。中国の若者を理解することです。中国人はよく「発展空間」という言葉を使います。文字通り、今自分が取り組んでいる現場を通じて自分がどれだけ発展するのかということです。つまり、現場が発展空間を与えられるかどうかがポイントなのです。
・・・だから中国のオペレーションについても、かつて日本の高度成長期にやっていた社内学校などのノウハウを生かし、品質管理の勉強や安全活動を通して人間形成につなげてほしいと思っています。それと平行して最先端の商品開発とマーケティングもやっていただく。この2つの組み合わせが中国の若者に発展空間を提供するうえで重要なポイントになります。」

「発展空間」という言葉、いいですね! しかし、これは中国に限ったことではありません。従業員意識調査/モラールサーベイを行う際、「何が高いモラールの主要因になっているか」という分析を行うと、成長企業においてはほとんどのケースにおいて、「当社にはチャレンジ機会が多い」「当社に勤務することで成長できる」といった項目が、満足度に対して高いインパクトを与えているのです。例えば、次のようなケースは典型的と言えます。(従業員意識調査において総合満足度の要因とそれぞれのインパクトを重回帰分析によって定量モデル化した例)

会社への総合満足度 =
  「仕事に納得感・達成感を持っている」 × 0.25
+ 「将来当社において成長してゆきたい」 × 0.17
+ 「当社にはチャレンジ機会が多い」 × 0.17
+ 「当社勤務によって成長できる」 × 0.13
- 「職場で品質・顧客満足へのこだわりは共有されている」 × 0.11
- 「自分は現場視点・顧客視点で仕事をしている」 × 0.15

「仕事への納得感・達成感」がトップ、そして「成長したい/できる」ということが3項目続きます。さらに、下の2項目は実はマイナスになっていることに着目してください。「職場で品質・顧客満足へのこだわりが共有されている」「自分は現場視点・顧客視点で仕事をしている」という2項目については、評価が低い人の方がかえって会社への満足度が高い・・・つまり、会社への満足度の高い人ほど、現場における品質へのこだわりや自分自身への「現場視点・顧客視点」について厳しい見方をしている・・・つまり高い目標水準を持っているのです。

このケースから、組織・人事の基本戦略を導き出すと、現場(=顧客接点)の品質を徹底的に高めることに焦点を当てることで、仕事の達成感と個々人の成長の可能性を見出させるべし、ということになります。

重要なのは、「発展空間」を何によって与えることができるのか、ということを明確にすることです。これは会社や事業によって異なります。事業が成長の真っ只中にあれば、自ずから「発展空間」を提供することができますが、必ずしも、事業は成長の真っ只中にあるわけではありません。その場合には、「何が事業の成長の鍵になるのか」「成長の鍵になる能力は何なのか」ということを明確にした上で、その能力開発に従業員を導き、それによって自分自身が成長するとともに、目の前で事業が成長を始める(顧客が満足する、顧客が増える・・・)ことを実感させ、そして好循環を生ぜしめる、というストーリーが基本になります。

コマツの坂根正弘会長が、「品質管理の勉強や安全活動と、最先端の商品開発とマーケティングに従事することの、2つの組み合わせが発展空間を提供するためのポイントになる」と明快に言い切っているのは、さすがだと思います。

意識調査/モラールサーベイを行っている場合は多いと思いますが、何が従業員のモラールの源泉になっているのか、このような分析を行ってみてはいかがでしょうか?きっと、貴社においても、「発展空間」であることがポイントである、ということが導き出されてくると思います。そして、何が「発展空間」を提供する上でのポイントなのか、ということについてのヒントと裏付けが見出されてくるものと思います。


プロフィール

写真:南雲 道朋(なぐも・みちとも)
株式会社HRアドバンテージ取締役
南雲 道朋(なぐも・みちとも)

株式会社HRアドバンテージ取締役。富士通でシステム開発企画、マーサージャパン等の外資系コンサルティング会社で業務改革/マネジメント改革/組織改革/人材開発を横断するプロジェクトの企画・推進を行ってきた。分野を横断するシステム思考の実践を基本姿勢とし、近年は人と組織のデータ活用の仕事に注力している。著書に、『多元的ネットワーク社会の組織と人事』(ファーストプレス)、『チームを活性化し人材を育てる360度フィードバック』(共著、日本経済新聞社)、『図解戦略人材マネジメント』、『実践Q&A戦略人材マネジメント』(以上共著、東洋経済新報社)がある。

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