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職場活力回復の鍵を自分達のものに

「職場の疲弊」が言われ、職場の活力回復に向けての議論が、ここのところ盛んになってきました。背景としては、業績へのプレッシャー、要員のスリム化、要員構成の世代間アンバランス、リスク管理やコンプライアンスの負担増などが指摘されてきました。

職場の活力維持のポイントを列挙した優れたリストとして、米国ギャラップ社のQ12と言われる12項目のリストがあります。それは、従業員およびワークグループのパフォーマンスを的確に予測できる指標として、統計的な検証を経たものであるといいます。同社のウェブサイトに載っているものを引用すると、次のようなものとなっています。

すぐれたマネジメントのための12要素
1. 私は仕事の上で、自分が何を期待されているかがわかっている
2. 私は自分の仕事を正確に遂行するために必要な設備や資源を持っている
3. 私は仕事をする上で、自分の最も得意とすることを行う機会を毎日持っている
4. 最近1週間で、良い仕事をしていることを褒められたり、認められたりした
5. 上司または職場の誰かは、自分を一人の人間として気遣ってくれている
6. 仕事上で、自分の成長を励ましてくれる人がいる
7. 仕事上で、自分の意見が考慮されているように思われる
8. 自分の会社の使命や目標は、自分の仕事を重要なものと感じさせてくれる
9. 自分の同僚は、質の高い仕事をすることに専念している
10. 仕事上で、誰か最高の友人と呼べる人がいる
11. この半年の間に、職場の誰かが自分の進歩について、自分に話してくれた
12. 私はこの1年の間に、仕事上で学び、成長する機会を持った
Copyright © 1993-1998 Gallup, Inc. All rights reserved.

これは確かに、コンパクトでありながら、バランスがとれた優れたリストであると感じられます。こういったものを参考にして職場の状況を診断し、不足している点に対して梃子入れを行うことは有効かもしれません。従業員のモラールサーベイを行うにあたっても、100項目以上もの長大なアンケートではなく、この12項目に絞っておこなうことで、かえって職場や従業員の状況を的確に把握しやすくなるかもしれません。そして12項目程度であれば十分に覚えられますので、職場に貼りだしてしまい、「職場づくりの12箇条」のようにしてしまうことも考えられるでしょう。そして、年に一度ならず、四半期に一度、あるいは月に一度といった頻度で職場の状況をチェックし、職場が改善されているかどうか、確認するために使用することもできるでしょう。そしてそれを半年もしつこく続ければ、ほぼ必ず、その12項目は各職場に浸透するでしょう。各職場のマネジャーにとっても必ずや学びがあるでしょう。(我田引水ですが、そのためにHRアドバンテージのツールを使うことも考えられます。)

・・・という効能があると考えられる12項目のリストですが、実際にこの項目をそのまま著作権表示付で職場に張り出そう!と言われたら、各職場にとっては今ひとつ釈然としないものが残りますね。その釈然としなさの要因、そしてそれをどうやって解消するか、ということについて、以下考えてみたいと思います。

釈然としないとしたら、それは次のようなことによるのではないでしょうか。

まず何よりも自分達で考えたものではないということ。人様が作った価値基準をそのまま受け入れようというのは、職場のリーダーシップに対する軽い脅威と感じられるかもしれない。
人様の作ったリストなので意味内容を完璧に理解し、疑問点を解消することが難しいということ。例えば、12項目の中には似たようなことを言っているように思われるところもあり、それらがどう違うのか、原文を参照したい、とかいったことが出てくる。
数千社の調査に基づいて統計的に有効性が実証されているといっても、それはあくまでも、どの会社においてもあてはまる、ということを意味しているだけであって、我が社、我が職場においてこれがベストである、ということではない。

もっとも、だからといって、この12項目を参考にして自分達で似たような12項目を作ったとしたら、それがたとえ少し表現を変えただけであったとしても、そのようにした段階で、もうそれは、有効性が検証されたチェックリストではなくなってしまいます。 

ではどうしたらいいのか。結局のところ、なぜこの12項目なのか、ということをよく考え、12項目を有効たらしめている条件を理解し(=リーバス・エンジニアリング)、その上で、その条件を満たしながら、12項目を自分達に合うように調整する他ありません。そのような見地からこの12項目を睨んでみますと、まさにこれは組織論のエッセンスを含んでいる12項目であると言えます。(そのように解釈することができます。)

組織論には、チェスター・バーナードが『経営者の役割』という古典の中で打ち出している、公理とも言える理論があります。私も一昨年、現代的な組織・人事の論点を整理するために同書の理論にまで遡る、という本(『多元的ネットワーク社会の組織と人事』)を書いてみて、その理論の有効性を実感したのですが、同理論では組織が存続するための条件を大きく、「共通目的」「コミュニケーション」「協働意欲」の3つに分けています。そして、12項目はそれに見事に沿っていることがわかります。細かい点は割愛しますが、次のように位置づけることができます。最終的には12項目を自分の頭で考えて導き出せればベストですね。そうすれば、もう12項目を忘れることはありません。あとは実践あるのみ。実践のためには感情の鍛錬が必要で、それが一番大変かもしれません。絶対キレない(笑)、とか。

プロフィール

写真:南雲 道朋(なぐも・みちとも)
株式会社HRアドバンテージ取締役
南雲 道朋(なぐも・みちとも)

株式会社HRアドバンテージ取締役。富士通でシステム開発企画、マーサージャパン等の外資系コンサルティング会社で業務改革/マネジメント改革/組織改革/人材開発を横断するプロジェクトの企画・推進を行ってきた。分野を横断するシステム思考の実践を基本姿勢とし、近年は人と組織のデータ活用の仕事に注力している。著書に、『多元的ネットワーク社会の組織と人事』(ファーストプレス)、『チームを活性化し人材を育てる360度フィードバック』(共著、日本経済新聞社)、『図解戦略人材マネジメント』、『実践Q&A戦略人材マネジメント』(以上共著、東洋経済新報社)がある。

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