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世代論を見直す時期

近年日本でも、就職氷河期世代すなわちロスジェネ論が盛んになったが、世界同時不況の中で、経済の成長と雇用機会の回復が再び限りなく先になる蓋然性が出てくる中で、世代論も新たな局面に差し掛かっているように思われる。「成長が全てを癒す」あるいは「売上が全てを癒す」という言葉があるが、社会全体の成長が乏しい中では、社会階層の中での位置づけは固定化されがちとなり、「世代による運不運」の感じられ方は増していくことになる。世代論は、これまでの「マーケティング論」、「就業機会論」や「人材活用論」などの個別の議論からさらに進んで、「世代ごとに就業、キャリア、購買、老後を含め、生涯設計をどう成り立たせるか」という議論に拡大していくものと思われる。従業員意識調査などの結果を分析するにあたっても、また、企業におけるキャリアパスを見直すにあたっても、世代ごとに課題を整理し直すべき時かもしれない。

米国のハーバード・ビジネススクールからブログやPodcastで発信される情報を見ていると、米国でもリーマンショック後、世代論がとみに盛んになってきている印象を受ける。例えば金融危機の影響を受ける度合いが、
●資産を持つ層 ・・・ 逃げ切り
●資産も負債も持つ層 ・・・ 直撃
●資産も負債も持たない層 ・・・影響軽微
で全く異なり、それによって購買心理が全く異なるので、マーケティング戦略もそれに応じて作り直さなければならない、という、ジョン・クェルチ氏の議論がある。

そして、それは世代とも密接にリンクしており、1980年以降に生まれた世代(ジェネレーションY)は、(日本においては就職氷河期の直撃を受けるといった苦難も経ているとはいえ)逆に失うものがほとんどなく、これから徐々に資産を購入していくとしても低価格で買えることになるので、優位性が出てきた、というタマラ・エリクソン氏の議論がある。

では、1965年~1980年くらいに生まれた世代(ジェネレーションX)、日本で言えば、就職氷河期が来る前に社会人になったバブル期入社組を中心とする世代はどうか。この世代は、組織の中でも上がつかえてきた世代であり、部下の数も少なく、PCを使いこなすことはできるとはいえ、ネットに生得的に馴染んでいるというほどでもなく、子供も抱え、ローンも抱え、難しい立場にあると言われている。しかし、この世代にも、オバマ大統領の誕生が象徴するように、チャンスが訪れていると、上述のタマラ・エリクソン氏は言う

タマラ・エリクソン氏によれば、この世代は、企業内の階層を上るよりも、自分自身の軸で成功したいという起業家的指向性を潜在的に持っており、その志向性を活かすべきだという。そのためには、企業側も、ポストの数は依然として少ない中で昇進のチャンスをいかに与えるかということに腐心するよりも、むしろ水平方向に異動させて複数分野のキャリアを積ませることを考えるべきだという。そして、次のリーダー層になるこの世代の者どうしが連携し、問題解決プロセスを共有することにより、ブレークスルーを見出せ、という。

また、世代間の役割分担を考えよ、という。団塊世代とその子供の世代であるジェネレーションYとは非常に親和性があることが知られているが、団塊世代とジェネレーションXとの間にも、オバマ政権の閣僚メンバー構成が語るように、団塊世代がジェネレーションXのサポートに回るという補完関係が成り立つという。また、ジェネレーションXとジェネレーションYとの関係についても、生来のネット世代でありスペシャリスト指向になりがちなジェネレーションYが、ジェネレーションXと協働し、ジェネレーションXのネットワークを活かすことで、価値が生まれるという。

以上、米国の議論には米国らしく、ピンチをチャンスに変えよう、ブレークスルーを見出そう、というマインドが感じられるので、日本の我々にとってもヒントになる部分がありそうである。タマラ・エリクソンおばちゃんは、「下降期はスキーの急斜面降下と同じで、重心を後ろにして踏みとどまろうとするとかえってスピードが上がってしまうから、重心を前にして思い切り前のめりになる方が得策だ」と元気づけている。

     

プロフィール

写真:南雲 道朋(なぐも・みちとも)
株式会社HRアドバンテージ取締役
南雲 道朋(なぐも・みちとも)

株式会社HRアドバンテージ取締役。富士通でシステム開発企画、マーサージャパン等の外資系コンサルティング会社で業務改革/マネジメント改革/組織改革/人材開発を横断するプロジェクトの企画・推進を行ってきた。分野を横断するシステム思考の実践を基本姿勢とし、近年は人と組織のデータ活用の仕事に注力している。著書に、『多元的ネットワーク社会の組織と人事』(ファーストプレス)、『チームを活性化し人材を育てる360度フィードバック』(共著、日本経済新聞社)、『図解戦略人材マネジメント』、『実践Q&A戦略人材マネジメント』(以上共著、東洋経済新報社)がある。

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