1. トップページ
  2. インフォメーション
  3. 最新人材マネジメント情報
  4. データを活かせる組織になっているか
最新人材マネジメント情報

データを活かせる組織になっているか

Competing on Analytics
  • タイトル: 『分析力を武器とする企業 強さを支える新しい戦略の科学』
  • 出版社:日経BP社
  • 出版日:2007/6/30

まずは書籍の紹介です。Googleを初めとする検索エンジン、そしてアマゾンや(音楽配信)のiTunesストアで表示される「お勧め」の精度がますます向上していることに気付いていらっしゃる方も多いと思います。しかもその「お勧め」は、多くの人達の行動の軌跡=知識や知恵を反映したものですので、教えられることも多いのです。このように、統計データと私たちの日々の生活とは、ますます結びつくようになっています。そういえば、今回の金融危機も、統計データに基づいてお金が勝手に動いていった結果だったとも言えます。

さて、そのように、「データ分析」が経済、そして企業活動の中において占める割合はますます高くなっているのですが、それは、組織・人事においてはどのようなインパクトを与えているでしょうか。米国における最新の状況を見るために、本書を参照することができます。昨年2007年に出版されたCompeting on Analytics: The New Science of Winning の翻訳です。我々の消費活動において馴染みの深いマーケティング領域だけではなく、財務、製造・品質管理、研究開発、人事、SCM、CRMといった領域におけるデータ活用の近況がカバーされています。また、データを活用できるような組織運営のあり方についても議論がなされています。

さて、人事におけるデータ活用についてはどのように触れられているでしょうか?残念ながら、まだまだである、と書かれています。

●「大企業の大半は人材情報システムを整備して採用・報酬・昇進・実績評価などの人事記録を蓄積しており、中には能力開発プログラムの成果やスキルの習熟度などを記録している企業もある。だからその気になれば、人材への投資効果は測定できるはずだ。だが「その気」になっている企業が多いとはいえない。人材は「最も重要な資産」だというのがどこの企業でも謳い文句である。だが人材は「最も高価な資産」ではあっても、その価値のほどが測定されてはいない。この方面でデータ分析を始めた企業はあっても、競争優位になっている企業はまだほとんどない。ほぼ唯一の例外が、プロスポーツである。(P.132)」

そして、そのような中でも先進的な取組みの事例として、次のような事例が紹介されています。

●大リーグのオークランド・アスレチックス ・・・ データ野球の元祖。実績の適切な評価と改善につながるような指標を開発。マイケル・ルイスの『マネー・ボール』に詳しく紹介されている。

●プロフットボール・リーグのニューイングランド・ペイトリオッツ ・・・インテリジェンス、強調精神等、運動能力以外の能力を「無形資産」と呼び、選手としてそれらについてよく話し合う。監督のビル・ベリチックの信念は次のようなもの。「選手を一人チームに入れるとしよう。それはそいつをまるごと受け入れるということだ。スピードや敏捷性だけじゃない。先見性。注意力。態度。ユーモア。メンタル・タフネス。そういうことすべてがチームに加わる。だからわれわれは、選手を総合的に評価するシステムを整えている。・・・選手の経歴、メンタル、フィジカルだけじゃなく、性格や行動、態度などまでチェックする。そしてデータを分析し、その選手のグレードを決める。これがチームにとってのその選手の総合的な価値というわけだ。」

●携帯電話大手のスプリント ・・・ 顧客管理担当副社長のチャド・ジョーンズが人事部に協力し、カスタマー・リレーションシップのライフサイクルにならって、社員との関係管理を次の六つのステージで考えることにした。人事チームは次をできるかぎり数値で測定し、その分析結果に基づいて、各ステージで社員との関係最適化をめざす。
1. 社員はスプリントについて何を知っているか、それをどうやって知ったか。
2. 社員の能力をどのように開発し、適材適所を実現するか。
3. 社員の意欲をどうやって引き出し生産性を高めるか。
4. 最初の給与をいくら払い、社員にいかに満足感を与えるか。
5. 社員が不満や悩みを抱いたときに、いつどのように介入するか。
6. マンネリにならず毎年意欲を高めるにはどうすればいいか。

●ITスタッフの派遣のアペックス・システムズ ・・・ 顧客がデータによる人事管理を取り入れることで派遣人材への要求が厳しくなったことを受けて、次のような指標を設定。
1. 派遣希望に対して第一・第二・第三の該当候補者を派遣するまでに要した時間
2. 派遣先が面談した候補者の数
3. 派遣先との給与条件など金銭トラブルの頻度
4. 派遣先での問題解決に要した時間
5. 派遣先の総合的な満足度

●キャピタル・ワン ・・・ 数学のテスト、ケース面接、行動テストなどを取り入れて、応募者や社員の適性を見抜き、本当にやりたいことを見つけ出す手がかりにする。対象は全社員で、上席副社長も例外ではない。


さて、こうしてみると、一言で人材マネジメントへのデータ活用といっても、「適性アセスメントデータ」の活用から、データ野球におけるような、人事データというよりは「結果指標」の活用に至るまで、多岐にわたっています。以上をどのように理解したらいいでしょうか?以前に当コーナーでご紹介したワークフォーススコアカードの全体像の中で、そのどこを扱おうとしているのかということを見ることで、すっきりと整理できます。

【図】人材マネジメントにおけるデータ活用をワークフォーススコアカードの全体観の中に位置づける

Workforce Scorecard Mapping



(日本語で活用方法を整理したものは、来る11月17日(月)の弊社セミナーにてご紹介する予定です。)

そして、いずれにしても、このような全体観を持った上で、自社ではどのようにデータ/情報活用をすべきか、ということを考える必要があるのです。

プロフィール

写真:南雲 道朋(なぐも・みちとも)
株式会社HRアドバンテージ取締役
南雲 道朋(なぐも・みちとも)

株式会社HRアドバンテージ取締役。富士通でシステム開発企画、マーサージャパン等の外資系コンサルティング会社で業務改革/マネジメント改革/組織改革/人材開発を横断するプロジェクトの企画・推進を行ってきた。分野を横断するシステム思考の実践を基本姿勢とし、近年は人と組織のデータ活用の仕事に注力している。著書に、『多元的ネットワーク社会の組織と人事』(ファーストプレス)、『チームを活性化し人材を育てる360度フィードバック』(共著、日本経済新聞社)、『図解戦略人材マネジメント』、『実践Q&A戦略人材マネジメント』(以上共著、東洋経済新報社)がある。

サービスに関するお問い合わせ・ご相談はこちらまで

お問い合わせ

人事に関する情報が満載メールマガジン配信中

メールマガジン登録