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6ファクターアセスメント(4):コンピテンシー評価の方法

コンピテンシーをとらえる軸(ファクター)を決めたならば、次に、レベルないし強さを測定する必要があります。測定して初めて、Aさんをどのような仕事が合っているのか、どのような観点から評価したらいいのか、どのような報酬が適切なのか、どのように育成したらいいのか、ということが定まってきます。

【図1】コンピテンシー評価・アセスメントを中心に人事サイクルが回る

cycle


しかし、コンピテンシー評価・測定の難しさはよく知られています。試験で測定できる「知識」や、結果で測定できる「業績」ではなく、「仕事の中で発揮する能力そのもの」であるところのコンピテンシーはどのように測定したらよいのでしょうか?ここで割り切って考えるべきことがあります。それは、コンピテンシーの絶対的な強さの測定はもともと不可能だということです。どれほど評価基準を精緻化したところで完全にはできません。本当にできることは、XコンピテンシーについてAさんとBさんとを比べてどちらが強いかを比べること、あるいはAさんにおいてXコンピテンシーとYコンピテンシーのどちらが強いかを比べること・・・といった相対的な測定だけなのです。というのは、

●コンピテンシーの発揮ができるかどうかは、環境との関係の中で決まってくるからです。たとえば、「100人からのメンバーのコンセンサス地点を見極めて、効果的にメッセージを発することができる」というコンピテンシーも、自分が長年仕事をしてきた部門の中ではできても、他部門でもできるかどうか、他社に移ってもできるかどうか、あるいは英語環境でもできるかどうか、というと全くわからないものです。特定の企業で巨額取引を維持するアカウントマネージャーを張っていても、長年勤務していた会社を離れると何もできない、といったことはよくあることです。

●あるいは、コンピテンシーの発揮は、周りの人のコンピテンシーとの相対的な力関係で決まってくる、言い換えれば、チームの中の役割分担によって決まってくるからです。例えばAさんは、人の感情面のとりまとめはBさんに任せて、主に分析的な能力を発揮している場合、Aさんの感情面をとりまとめるコンピテンシーは隠れています。そして、Bさんが去りAさんがBさんの役割も担わなければならなくなった時、AさんはBさんと同じように感情面のとりまとめができるかもしれませんし、できないかもしれません。

ではどのようにして評価・アセスメントを実施したらいいのでしょうか?次がポイントになります。

●評価のインフレをもたらさないメカニズムを組み込むこと。能力の全体量は同じ、と割り切って、チームまたは個人に与えられたポイントを配分するなど。

●評価を修正し続け、妥当性を高めていくようなメカニズムを組み込むこと。例えば、多面評価を繰り返し実施して様々な評価を知ることで、より妥当な認識に至ること。また、そうでなくても、評価結果を公開することで他人の目、複数の目を意識するなど。

そのためにも、評価・アセスメントのプロセスやロジックは、簡単かつオープンなものであるべきです。外部のアセスメント機関やテストを使って結果だけ出してもらったところで、それでは評価・アセスメントの能力が磨かれることにはつながりません。何故このような結果か、ということを考えながら、何度も評価を修正し、正しい認識が出来上がってくる、またそのプロセスを通じてアセスメント能力が組織に蓄積されてくる、というのが正しいのです。アセスメントの方法には次の図のような類型があり、どの方法をどのような目的、場面で用いるか、ということを考える必要があります。そして、様々な選択肢の中から、コンピテンシーの6ファクターに基づく、多面評価(360度評価)と、自己診断テストとを使い分ける方法を、お勧めしたいと思います。

【図2】コンピテンシーアセスメント方法の類型
assessment type


自己診断テストのロジックはいくつか組むことができますが、2つのファクターを取り出して付き合わせてどちらのファクターが強いかを判断し、それを積み重ねることで、自分のコンピテンシー発揮の特徴を考えていく「総当たりトーナメント方式」をお勧めします。6ファクターの総当たり戦であれば、6×5÷2=15問の設問で一通りのアセスメントが完了することになります。6つのファクターごとに代表的な行動指標を設定しておき、総当たり戦で、左右に行動指標を付き合わせながら、左右のどちらが自分により当てはまるのか、3:0か2:1か1:2か0:3の対戦結果になるように点数を振っていきます。

簡単なロジックですが、これだけでも十分、自分の能力発揮の特徴を振り返ることになります。そしてその結果は6ファクターの強さの順番として現れますが、そのフィット感や有用性は有料の適性テストと遜色ないことがわかるでしょう。そして、お互いの実施結果を公開し、付き合わせてみることで、自分自身、そしてお互いの能力・適性に対する見方を新たにしていくことができます。

【図3】6ファクターの総当たりトーナメント方式によるアセスメント
sample

HRアドバンテージでは、様々な用途を想定し、6ファクターをさらにブレークダウンして24ファクターに落とし込むこともできるよう、もう少し凝ったロジックの自己診断を提供していますが、まずは6ファクターの総当りトーナメント方式のアセスメントで十分なのです。そして何よりも、共通の評価軸・プロセスでお互いの能力・行動特性を把握し、そうして把握した結果をお互いに共通認識として持つ、ということが重要なのです。そのことが、次のように組織力の強化につながっていくことになります。

●お互いの特徴が明確になることで、チームの中の役割分担が納得性を持って行われていくことになります。
●どの部門ではメンバーがどのようなコンピテンシーの発揮の仕方をしているか、コンピテンシー分布を一望することができます。
●似たコンピテンシータイプの人を集めたり、またある仕事に求められるコンピテンシータイプと各人のコンピテンシータイプとを比較することで、より適性に合った仕事の割り当てを追求することができます。

プロフィール

写真:南雲 道朋(なぐも・みちとも)
株式会社HRアドバンテージ取締役
南雲 道朋(なぐも・みちとも)

株式会社HRアドバンテージ取締役。富士通でシステム開発企画、マーサージャパン等の外資系コンサルティング会社で業務改革/マネジメント改革/組織改革/人材開発を横断するプロジェクトの企画・推進を行ってきた。分野を横断するシステム思考の実践を基本姿勢とし、近年は人と組織のデータ活用の仕事に注力している。著書に、『多元的ネットワーク社会の組織と人事』(ファーストプレス)、『チームを活性化し人材を育てる360度フィードバック』(共著、日本経済新聞社)、『図解戦略人材マネジメント』、『実践Q&A戦略人材マネジメント』(以上共著、東洋経済新報社)がある。

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